風船の色は。

たとえばこんな話をしよう。
ある部屋に、大きな風船があったとする。
部屋いっぱいに、パンパンに膨らんだ、真っ赤な風船。
君は部屋の入り口からその風船を見てる。
息を呑んで、その張り詰めた赤を。
でもその時、部屋の奥にも人がいたんだ。
部屋の奥から、反対から、その風船を見てる人が。
その人は言った。
「なんだか部屋いっぱいに青空が広がってるみたいだ」って。
君からその人は見えない。
パンパンに膨らんだ風船は、天井にも壁にもぎゅうぎゅうに詰まっているから。
「何を言ってるんだい?
 こんなにもパンパンに膨らんだ赤い風船、見てるだけで嫌な気持ちになるよ。」
「そうか、君から見えてるのは赤い色なんだね。 
 僕から見えてるのはね、空みたいに澄んだ青なんだよ。」
風船は一色だって誰が決めた?
真ん中で、赤と青に分かれてる風船だって、あるかもしれない。
でも、人は、「自分から見えてる色がその風船の色だ」って思うし、思いたい。
見えない反対側を
「そっち側は青なんだね。」
って言う人と
「何言ってるんだよ、この風船は赤だろう」
って言う人がいる。
君は、どっちの人になりたい?