昔、受け取っていた、一通の手紙

ノートを見てたら、古いCMのような思い出が……
机に向かってもう2時間。 わずか二つくらいの漢字なのに。
だからこそ、僕は悩んでしまいます。 
 
僕が頑張って働いて、いっぱいのお金を君にあげたとしても、
すぐ使ってしまうかもしれない。
 
これから、たくさんの愛情をあげたとしても、
それは当たり前だし、当たり前だと感じて欲しいと思う。
 
では、何をあげれば、いつまでも君の元に長く残るのだろう?
 


そうだ…手紙を残そう。 

こんな子になってほしい……。 
でも、元気であれば、それでいい。
 
生まれてきてくれて、ありがとう……。
でも、感謝なんか、いらないから。
 
万感の思いを胸に、宙を睨む。 

専門書を何冊も読んで、また悩む。
 
お腹の中の命はもうすぐ、誕生する。 

人には絶対譲れない、譲らない。 

声を出して呼んでみる。 何度も呼んでみる。

何度も書いてみる。 何度も考えて、また書いてみる。 

何日もかけて、大切につける、お前の名前。
 
それは、僕から君への、「一通の手紙」です。

 

 
君は、人生という時間をかけて、ゆっくり読んでくれるはずです。 

何度も何度も、読んでくれるはずです。

君への「手紙」を書いた日の、その思いを。
 


君が一生のあいだで、一番に目にする二文字は、僕がつけた「名前」です。 

そう、こんなに繰り返し読まれる手紙は、これからもないだろうから、 

僕はどれだけかかろうと、最高の「手紙」を君に贈るつもりです。

・   ・   ・

20年前の自分と息子を思い出して、

もっと、ずっと前の、親と自分のことを考える。
 

一生懸命考えて、付けてくれてたとしたら、
「申し訳ない」――と謝らないと。 

そして、「ありがとう」――と言わなければ……。
 

この世に無限にある名前の中から、
たった二文字を選ぶのは簡単ではなかったはず。 

一度も正しく呼ばれたことはないけれど、
自信をもってこれからも、この「手紙」を大切に持ち続けます。
9月17日は 敬老の日です。