古い絵日記の中に

失くした日々が
失くしたと思っていた大切な日々が
古い絵日記に残っていた

「おばあちゃんちで、みんなで
すいかをたべました」

縁側に小さなゴムぞうり
スイカとみんなの笑顔が描かれていた

おばあちゃんと過ごす夏休みの時間
家に帰りたくなくて
夏休みが終わるのが嫌で泣いたこと
みんなで昼寝した畳の感触
蝉やカエルの声と蚊取線香の匂い

全てが大切な記憶
夏は終わるけど
その場所はもうなくて
会いたい人にはもう会えないけど
絵日記の中にはずっと残る
みんなの笑顔

どんな高価なものより
何よりの宝物

片付け中に押入れに見つけた
自分の大切な一部
この先まだまだ
寂しさや悲しさは人生予期しない時に
くるかもしれない
そのたびに取り出して見る私の原点

何気ないけれど
ふと行きたくなる
隅々まで生のぬくもりがあたたかくて
離れがたい場
時代は無機質になっていくけれど
そういう空気感を引き継ぎ
みんなが寛ぐ姿を
そっと陰から見守っていたい

#旅する日本語 #心安