家庭学校

祖母は生前は「暮らしの手帖」を定期購読していた。その中に「家庭学校」というページがあり、「家庭」をテーマにした読者の投稿ページで、花森安治氏が健在だった頃は、赤裸々、辛辣なものが多く、母も、祖母も、私ら姉妹もこのページが好きだった。
私が1番好きだった、ある夫婦の物語。
この夫婦の相性は最悪で、どんな占い師も
「全く意味をなさない組み合わせ」と言われ、実際その通りで、喧嘩の絶えない日々で、しかし、夫婦の危機が訪れる度に、大きな災難が降りかかり、協力し合わなくてはならない状況になってしまう。
そうこうしているうちに、夫の定年間近に
「もう我慢できない」と妻は、離婚を決意する。夫は言う。
「出て行くなら、もう2年待ってくれ。俺の退職金を全部やるから。お前が一人で、暮らして行くことを思うとやっぱり心配なんだよ」
妻は二度と「離婚」を口にすまいと決めた。
お互いになくてはならない存在になっていたことに気づいたからだった。
(昭和48年頃の投稿)