カラオケ革命🎤

【テーマ⑨:カラオケ 夕暮れしとちゃんとの合同企画】
わたしは歌うことがとても好きだ。だから、カラオケにもよく行く。その時は絶対に誰かと一緒だ。“ヒトカラ”はしたことがない。
ここでは何回も書いているのだが、わたしは中高と合唱部に所属し、6年間ほぼ毎日歌に明け暮れていたにもかかわらず、休日は友人とカラオケに行くということがしばしばあった。
そんなわたしのカラオケデビューは意外にも遅く、中学2年の頃だった気がする。一緒にいた友人は慣れた様子で受付を済ませ、当然のように部屋に入る前に渡されたコップにジュースを注いだ。その一連の動作があまりにもスムーズだったから、すごくかっこいいと思った。
「ぱぴえ。は合唱部だし、上手いんだろうなぁ〜!」
「えぇ〜どうかなぁ…みんなそう言うけど、そうでもないと思うよぉ〜⁈」
中学で合唱を始めたわたしは、カラオケに行き始めた頃は、絶対に一緒にいる人に“上手い”と思われたいと思っていた。だって合唱部だし。下手だと思われたくない。それに、一緒にいる人だって、上手いことを期待している。しかし歌ってみると、カラオケというのは合唱とはまるで勝手が違うことに気がついた。
そもそもカラオケと合唱では発声の仕方が違う。ポップスをマイクで合唱風に歌ったらそれはもう完全にギャグだ。それに、近ごろ世で人気を博している多くの曲は極端に音域が広かったり、歌詞が詰まっていて早口だったり、死ぬほど英語が盛り込まれていたり、リズムが複雑だったりするわけで、数多ある曲の中から自分の音域にあった歌いやすい曲を見つけるのは至難の業である。そして大抵、わたしが発掘するそういう曲はあまりポピュラーなものでない場合が多い。
周りからの評価を気にするあまり、場の“盛り上がり”よりも“自分にとっての歌いやすさ”を優先してしまっていた。
いいですか、みなさん。もし合唱部や音楽系の部活に入っている人とカラオケに行っても、絶対に「合唱部だから絶対上手いでしょ〜!」なんて言ってはいけません。それは、ものすごいプレッシャーなのです。
高校ではもっと本格的に合唱をした。カラオケで上手いと思われたいという想いも、強くなっていた。
でも、ある出来事がわたしに大きなパラダイムシフトをもたらしたのだ。
それは、わたしがある友達とカラオケに行ったときのこと。高校生になったわたしはアニメが大好きなヲタクだった。わたしは“上手く”歌えるジャンルをアニソンにまで広げつつあった。
いつものようにマイクを準備し、十八番を歌おうとしていたその時…。友人がバッグからおもむろにペンライトを2本取り出し、わたしに渡してきた。
「えっなにこれ⁈」
「ペンラ!!!歌う時これ振りたいから!貸してあげる!」
と言って友人は部屋を暗くしてペンライトを付け、その光る棒をわたしの歌声に合わせて思い切り振り出した。
『えぇ〜〜〜!!!なにそれ!!!やばいwwwww』
困惑しながらも、わたしも渡されたペンライトを振りながら歌ってみる。
『た、楽しい……!!!!!』
かつて、こんなに楽しみながらカラオケをしたことがあっただろうか。ペンライトを振り始めたわたしはもう、音程が外れているとか、歌っている途中に可笑しくて笑ってしまうとか、そういうことを全く気にせず、心から歌を楽しんでいた。
友人が歌っている時もペンライトを振って盛り上がる。上手いか下手かなんて関係ない。ただ、楽しいことが重要だった。
カラオケにおける“盛り上がり”は合法的にハイになれる麻薬のようなものだと思う。
これが、わたしに起きたカラオケ革命だった。わたしの心はカラオケで解き放たれるのだ。