まだ見ぬ世界の花弁

最近、真剣に恋してしまった。
その人との接点や出会いの詳細は伏せておく。
ただ、その人は繊細で、丁寧で、僕のずっとずっと先にいるようで、でも最近、僕のことを見ていてくれていた人と知った。僕は、その繊細さと奥ゆかしさに、恋してしまった。
文字通り頭がぽう、としていていて、とても軽々しく触れることなどできない。こんな世界があったことに、今まで気づきもしなかった。
僕ではとても叶わない、のだろうか。わからない。
僕なら何とかできるかもしれない。わからない。
こんなことは初めてだ。好きという二文字すら烏滸がましいくらいに、ただ、恋をしています。
どうやって触れることが正解で、どう振る舞うことが正解かもわからない。
知らない人にだって、臆することなんて今まで無かったのに、この僕が、誰にでも好きと言えてしまうこの僕が、何も言えずにただ心を奪われている。
その人の文体に似せてしまう自分がなんだか嫌で、文章の一言一句にすら気を使う。あんなにもスラスラと、軽々しく文章を書いていた自分はもうここにはいない。
これ以上語ることすら、その人への全てを侮辱する行為のような気すらしてしまう。
でも僕は感情を吐き出して整理しないと何をするかわからないから、こうして書き留めている。
もしかしたら、僕に対してお世辞を言っているのかもしれないし、リップサービスなのかもしれなかった。だとしても僕は、それでも構わなかった。恋したことに満足感すらあった。尊敬の心とはこういうことを言うのだろうか、言葉が出ないほど、語りつくしようがないこの浮ついたようで、それはまるで沸騰させた鍋の中で浮いている卵のような、いや、違う、お風呂の中でボーッと両手を浮かせている時のような、それも違う。言い表しようがない。幸せとも少し違う。
僕は、僕は恋しているのだ。その人に恋をしている。
そして、今までどれだけ人生を軽々しく生きてきたかを恥じた。こんなにも世界が柔く脆く壊れやすいものだとは知りもしなかった。ようやく僕は世界を教えてくれそうな人に出会えた。
そう思う。