ネットサービスの栄枯盛衰で振り返る対応型と感想型の興亡

▼これがなかなか面白かった
BBS世代とSNS世代の違いから考察する言語認識の根本的違い――ネットに向かって喋る人たち
(一部抜粋)
 BBS世代のやりとりは、書かれている文章内容をみて、それに対応する文章内容を見せ合う流れで会話が進んだ。これを「対応型」とする。
 対してSNS世代のやりとりは、書かれている文章内容をみて、思ったことを喋って言う時の言葉でつくった文章で会話をする。これを「感想型」としよう。

 対応型からみれば、感想型は相手の言葉をよく読まず、好き勝手に意見を述べているような存在だ。チェスや将棋をしているように文章を認識し、盤上の駒の状況、つまり書かれている文章一文一文に対応できる言葉を考えてから書き込んでいる、それはお互いの為なのに、相手はその「ルール」を無視してくるのである。
 対して感想型からみれば、対応型は自分が書いたことに細かく絡んで、重箱の隅をつついてくるような存在だろう。いちいち疑うように聞き返してくる、空気が読めていない相手、まるで悪者扱い、なんでそんなこと気にするのか、どうでもいいじゃないか、話が進まないじゃないか、と。
 ……そして、互いが自分の感覚には無理解、無自覚なのである。話が噛み合わない原因はその感覚の違いであると気づくすらないだろう。その感覚で会話をすることは、息を吸って吐くかの如く、自然なことだからである。
 対応型「私はそんなこと言っていませんよ。よく読んでください」
 感想型「なんでそんな風に言うんですか? あなたの言ってることがよくわかりません!」
(全文はリンク先をお読みください)
この対応型、感想型の割合というのは、ネットの歴史と絡めて眺めてみても面白い。
私は1992年にパソコン通信(NIFTY-Serve)を始めたのがネットデビュー。
この当時のパソコン通信は、テキスト(文字)オンリーによる意見の応酬だったから、100%が『対応型』だった。一部の初心者が『感想型』としてBBSに入ってくると、一斉にバッシングを受けていた。(感想型受難の時代w)
そのため、SYSOPと呼ばれた各フォーラムの管理人が、初心者でも参加しやすい雑談チャンネルをひとつはつくり、初心者をそこに誘導。パソ通での『対応型』のやりとりができるようになるまで、徐々にみんなで訓練するみたいな感じ。(この頃、「ネチネチしてるからネチケット」という迷言が生まれる)
なにしろ、パソコン通信というやつは、草の根BBSという個人やサークルが運営するものを除いては、富士通やNECなどが運営する企業サイト。クレジットカードによる『1人=1ID』が原則だったから、みんな、自分のIDを大事=発言には責任を持っていた。

1996年にYahoo! JAPANサービス開始から、一気にインターネットが盛り上がる。
1997年から個人ホームページ開設ブーム。
この頃は、まだ、テキストオンリーのパソ通とインターネットの共存時代。まだまだ『対応型』が絶対優位。パソ通出身者がネットユーザーをリードする形で、個人ホームページに設置されたBBSの言葉遣いも丁寧。
1998年、Windows98発売、インターネット・エクスプローラー4が標準搭載され、PCもモデム標準搭載が多くなり、ネット接続がひじょうに簡単になる。
この'96年~'98年くらいから、各大学にネット接続環境が整えられるようになってくる。このあたりから、パソ通に大学生が大量に流れ込んでくるようになり、『感想型』が徐々に増えてくる。
1999年、匿名巨大掲示板がオープン。匿名ならではのネチケット無視と気軽さが「本音で語り合える」「自由で良い」と巨大化。「3行にまとめて」といった感じで『感想型』が一気に急増。特有の「言葉遣い」が流行し、個人ホームページのBBSにまで「特有の言葉遣い」をする感想型が溢れる。
(当時、個人ホームページ設置BBSの多くが「○ちゃん語は『ネット荒らし』と見做してアクセス禁止」といった処置をしていた)
某匿名巨大掲示板の「板」は増殖に増殖を続け…… 2000年代初頭は、匿名掲示板全盛期に。同時に専門板では対応型も存在していたことから、対応型と感想型が5:5の比率に。
2002年、BLOGサービスが続々開設。今までのHTMLを書くホームページよりも簡単に開設できることから一気にブームへ。BLOGはインターネット初心者にも敷居が低かったことから、感想型が爆発的に増える。
2003年、携帯電話のi-modeが社会現象的大ヒット。2004年、携帯電話アクセスによるプロフィールサイト「前略プロフ」サービス開始。2004年、携帯電話アクセスによる短文BLOGであるmoblog「GREE」サービス開始。その他、各種moblogサービスが続々と開始。
この携帯電話アクセスのネットユーザは、携帯電話の構造上、長文の打ち込みが困難なため、短文書き込みが一気に増加。携帯電話ユーザのほとんどは感想型のみ。
ますます減る一方の対応型……
そして、パソ通は一気に衰退へ。インターネットとの共存を模索した時期もあったが、功を奏さず。
2004年、日本初のSNSであるmixiサービス開始。サービス当初は完全招待制で入会できることがプレミアム感にもつながり、注目を集める。(ちなみに私の会員番号は1000番未満でした)
元パソ通利用者は、秩序なき匿名掲示板を嫌い、mixiにかなり集まる。また、匿名掲示板の殺伐さを嫌う人もmixiに。(また、'96年~'06年に隆盛を誇った同窓会サービス「この指とまれ(ゆびとま)」が暴力団スキャンダルのため衰退。ゆびとま難民の多くもmixiに集まる)
2005年、パソコン通信は事実上の終焉に。対応型、急速に減少へ……
mixiにおいては、サービス当初はIT関係者が多かったため対応型優位だったが、招待者制度がなくなった2010年以降から感想型が一気に増加。ほぼ同時に対応型は「mixi幼稚化」を嫌って一気に減少(脱出ともいう)。
2008年、Facebook日本版サービス開始。されどパッとせず…… 2010年、Facebook日本法人設立から、幼稚化したmixi脱出組がFacebookへ大量流入。2011年には参加者が1000万人超え。アクティブユーザー数ではmixiより上となり、同窓会的役割も果たせることから中高年を吸収(そのため、若年層や学生には敷居が高いサービスに)。対応型、最後の砦に。
2008年、Twitter日本版サービス開始。140文字の手軽さが携帯電話にぴったりマッチして大ヒットへ。もちろん、感想型が圧倒的優位。
2011年3月、東日本大震災。電話が繋がらなくなる状況の中、Twitterなら連絡を取り合えたケースが注目され、国や自治体の公式Twitterが登場。公的な情報インフラの一端を担う。
(今も、日本はTwitterの世界一のお得意様)
2008年、iPhone3Gをソフトバンクが発売。時代は携帯電話から一気にスマートフォンへ。
2011年、LINEリリース開始。無料通話機能が注目され、気軽に写真などの共有もできることから、開始から半年で1000万ダウンロード突破。2013年にはダウンロード数1億突破。
LINEは個人間のやりとりであるからして、99%が感想型。対応型は残り1%の奇特な存在に。
私個人の感想ですが、日本人で対応型は2割未満だと思います。
一番の理由は、日本人は対応型の文章を学ぶ機会が少ないから。
日本の国語教育において、作文は「自由文」が基本。自然な気持ちを出すことが求められすぎて、かえって文章を書くのが苦手な人を増やしている。構成を学ぶのは、大学の卒論ぐらい。極端な話、成人して社会に出るまで「箇条書き」を求められることがほとんどない。それが日本という国。
そして、この25年の日本ネット歴史を紐解けばわかるように、ネットサービスの歴史の変遷、そしてIT技術の進歩は「対応型→感想型」という流れ一方なわけです。
しかも、2008年くらいからのスマートフォン・ブームは、道具としてのパソコン、そしてキーボードの衰退につながっています。
たとえば、私は、このSNにおいても、めったにスマートフォンでアクセスはしていません。書く時はもっぱらPC接続、そしてキーボードです。(だから、長文注意w)
その他サービスに比べると、比較的に長文ユーザが多いSNですが……
スマートフォンで接続している方は、長文を打とうとは、あまり思わないでしょう?
というわけで、私は絶滅危惧種である対応型として、最期を迎えるのでしょうねえ。