未知との遭遇

私も妹も小学生だったある日の夜のこと。リビングで遊んでいると二階にいた父が慌てた声で
「おい、みんな!大変だ!早くこっちに来い!」
と叫んだ。母と私たちが何事かと二階の部屋へ行くと、父が真剣な顔をして窓の外を見つめていた。その先には、ふよふよと無軌道に動く小さな光とそれを取り巻く無数のキラキラがあった。父は、UFOを発見したと息巻いていたのだ。
確かに飛行機とは動きも光り方も違って今までに見た事のない感じだった。母は半信半疑のようだったが、父は座った目をしてまるで歴史的瞬間を目撃した人のように
「我々は選ばれた人間なのか…」
と言っていた。その様子を見て私はなんだか怖くなってしまい、天体望遠鏡を持ち出してUFOを見ようとしている父を、
「や〜め〜で〜!!ゆーふぉーにみづがっだらどうずるのぉ〜〜〜!!!」
と泣きながら全力で止めた。妹も泣いていた。UFOを作れるくらいの科学力を持った宇宙人なら、きっと逆探知してくるに違いないと思ったのだ。
「殺ざれだらどうするのぉ〜〜〜!!!ねぇほんどにや〜め〜で〜〜!!!」
そんな私の必死の制止を振り払って父が天体望遠鏡で見たもの、それは
「新発売!ゼナ」
と書いてある飛行船だった。つまり、広告。ただの、広告。
今でもコンビニや薬局でゼナを見かけると5回に1回くらいは肩を落とした父の姿を思い出す。けれど、もしかしたら我々は本当に選ばれた人間だったのかもしれない。ゼナに。