ブックレビュー『残酷な女たち』

ザッヘル=マゾッホ『残酷な女たち』(河出文庫)読了。
19世紀オーストリアの作家、
「マゾヒスト」の語源となったレーオポルト・フォン・ザッヘル=マゾッホの
ウィットとユーモアに富んだ短中編集。
『毛皮を着たヴィーナス』のような倒錯的な雰囲気はなく、意外に明るい。
表題作は、残酷というより、傲慢かつエレガントで、
自身の美を守ること、及び美意識に忠実に行動することを是とする八人の女の肖像――
といった趣の短編連作。
侮辱への報復、揉めごとに対するけじめのつけ方、
また、自分と同等かそれ以上に愛する人物がいれば、
その人を守るために死力を尽くすといった勇猛果敢な女性の姿が美しく活写されている。
キエフでカフェを営むトルコ人一家の美しい姉妹、その冷酷な姉が放った一言、
 「そいつの折檻はあたしにまかせてちょうだい」(p.27「サイダから来た姉妹」より)
にグッと来た(笑)。