ほんとうに

先日、昔の友人とその夫に会った。2人はつい最近結婚したのだが、彼女たちが付き合う前に、わたしも一度相手の人に会ったことがあった。冴えない人だな、というのがわたしの第一印象だった。
彼が頑張ってくれて。口説き落とされたって感じかな。
と彼女は幸せそうに言った。わたしは、本当に良かったね、と祝福の言葉を返した。それは偽りのない気持ちだったし、側から見ても2人は仲が良く、一緒にいる様子がとても自然だった。
ただ、頭の中では同時進行で全く別のことを考えていた。彼は本当に彼女が好きなのだろうか、と。例えば、この人はわたしが誘いかけたらちゃんと断れるのだろうかと。もちろんそんなことを実行するほど若くもなければ暇でもない。でも考えるのは罪にならない。例えば、彼女と付き合う前に、わたしが彼に対して積極的に行動していたら?その役は別にわたしではなくて別の女性でもいいのだけれど、彼が数人の女性に対して選択権を持っていて、かつ誘惑がある中でもちゃんと彼女だけを選べるのだろうか、と。
社内の知人になかなか嫉妬深い女性がいて、彼女は大人数の場でも、交際相手が若い女性と話すことを嫌がった。「だって、〇〇ちゃんて絶対彼のタイプなんだよ。告られたらそっちにいってたと思う。」と彼女は言っていて、わたしはそれはそうかもしれないなと思った。女性経験がなく、温和で優柔不断そうな男性だった。しかしそのことよりも、それがわかっていてもなお彼と付き合いたいと彼女が思うことに驚いていた。そういうものなのだろうか。わたしは、わたしを含め世の女性は、「絶世の美女になって世の多くの男性を振り向かせるより、絶世の美女になびかずに平凡な自分を選んでくれる人がいる」ということにより幸せを見出すのだと思っていた。わたしだけがずっと、少女漫画の世界から成長していないのかもしれない。
まさかこんな風になるなんて、人生何があるかわからないね。
と2人になったとき彼女は言った。以前彼女と会ったときは、付き合っていた人と別れたばかりで、とても暗かったのを覚えている。夫婦が冗談を言い合いながら、楽しく笑い合っていたことを思い出しながら、彼がわたしの思う「本当に好き」かどうかはわからなくてもいいから、どうかそれを試すような人が現れないことを願った。