左側

夕方までのリミットのあるドライブ
会って話すのは2年ぶり
ランチを食べて、行き先は特にあてもなく、
行き当たりばったりのルートだったけど
車に乗った時のちょっとうしろめたい気持ちから、徐々に緊張感がほぐれていた
家まであと30分
無言で差し出された左手を、握り返していた
運転に集中してほしい気持ちと、その手の温度と感触をずっと確かめていたいのと…
しばらくして彼が言った
「抗がん剤の副作用でさ…」
生活に支障はないのだけれど、
左手の指先が常にピリピリと痺れているのだそう
左耳も聞こえにくいという
何年も前に治療が終わって、もう病気自体は完治したのだけれど
そこからずっと続いている体の違和感と、まだ戦っている
彼の左手が、さらに愛おしくなった