深夜のテレビ映画

 なぜだか、寝つけない夜があります。目を閉じ、じっと横になっていても、よけいなことばかり考えますます目がさえてしまうのです。
 眠るのをあきらめ、テレビをつけます。
 どこのチャンネルでしょうか、映画を放映していました。

 深夜枠で流れるのは、いわゆるB級映画だったり、繰り返し放映されてきた作品ばかりです。ゴールデン・タイムで放映するには手垢がつきすぎて、視聴率の期待はできないと判断されてのことなのでしょう。

 レンタル・ショップで見かけることはあっても、横目で通りすぎてしまうような映画なのですが、つい見入ってしまいます。真夜中というのは、そうした魔法の香り漂う時間なのです。
 何度も観ているのに、次の場面はどうなるんだろうと、期待でわくわくしてしまいます。何度も観ているので、次の場面はこうなるんだった、などと懐かしさも込み上げてきます。

 こうして映画を観ていると、子供の頃を思い出します。
 小学生の頃は、遅くまではテレビを観せてもらえませんでした。本人はまだ眠くはないのですが、
「明日は学校でしょ。早く寝ないと、朝、起きられないわよ」
 などとうるさく言われ、居間から追い出されてしまいます。

 休みの前の日など、宵っぱりが許されることがありました。大人たちといっしょに、夜中までテレビを観ていました。至福の時間でした。
 色々な番組を観てきたはずなのですが、浮かんでくるのは洋画ばかりです。それも、SFや恐怖映画。
 「宇宙水爆戦」や「禁断の惑星」といったSFでは、宇宙探検への憧れと恐れを同時に味わいました。
 「巨大ヒルの襲撃」、「大アマゾンの半魚人」を観てからというもの、沼や川に不用意に近づくのはやめよう、そう心に決めたものです。

 母が夜食の即席ラーメンを作ってくれて、箸を動かしつつもテレビから目を離さず、食べる方も観る方も夢中でした。
「よそ見して食べてると、変なとこに入っちゃうぞ」と父は笑いますが、まるで聞いてなどいません。目をそらしたが最後、1番おもしろい場面を逃してしまいそうな気がするのです。
 
 そうして観てきた映画は、いつまでも心に残っています。
 ドラキュラもフランケンシュタインの怪物も、いつだってブラウン管越しに現れます。宇宙人の乗ってくる円盤は、ときには天井の円い蛍光管だったり、アルミの灰皿を通してやって来るのです。
 
 ふと、つけたテレビで放映中の深夜映画。観るつもりなどなかったのに、いつのまにか食い入るように姿勢を正していました。
 真夜中にひっそりと上映している、わたしだけのロードショー。