中学1年生

中学1年生の男の子を好きになってしまった。
数年ほど応援しているアイドルがいて、その子を目当てにコンサートを観に行ったらものすごくダンスがうまい子を見つけてしまった。目が離せなくなった。目当ての子が出ていない間はずっとその子を目で追っていた。目当ての子が出ている間ですらたびたびその子の姿を探してしまった。公演と公演の合間に調べたら名前が分かった。それと同時に現在中学1年生であることも分かってしまった。中学1年生。どうしよう。全6公演を見終えて、家に帰ってからも彼のことが頭から離れなかった。過去に彼が出演した公演を調べて、手元にあったコンサートDVDを再生した。画面の端の端に、誰よりも輝く彼がいた。
私はジャニーズJr.のファンであるもののショタコンのような性癖は全く持っておらず、応援しているアイドルはみんな20歳を超えている(一般的にジャニーズJr.というと中高生のイメージが強いけど、今はJr.の高齢化が進んでいて、30歳を超えてもJr.として活動するタレントもいる)。男性アイドルに対しては、せいぜい高校を卒業するくらいの年齢以上でないと興味すら持てなかった。そんなわけで、彼以外の中学生のJr.を見てもなんとも思わない。いやそれはさすがに嘘で、かわいいなー程度のことは思うけど、応援したいとか頑張ってる姿を見守りたいとか、そういう特別な感情が湧き起こることはない。
でも彼だけは特別だ。ステップを踏むたびにお尻にかかとがつきそうなくらい大きく膝を曲げるところとか、高く掲げた手の指先のさらに先まで神経が行き届いているところとか、マイクを持っていないのに歌詞に合わせて口を動かしているところとか、歌詞の世界観を全身全霊で表現しようとする情熱とか、もう全部全部、見ていて楽しい、本当に楽しい、とにかく楽しい。彼が踊っているところがもっと見たい。成長していく姿を見届けたい。アイドルとして出世してのし上がってほしい。売れてほしい。
中学生だから好きになったんじゃない。好きになった人が中学生だっただけだ。
一回りも年下だ。1年前までランドセルを背負っていた子だ。私が会社で仕事をしている間、彼は制服を着て教室で授業を受けている。しかもよりによって義務教育だ。彼にファンレターを書くには、中学1年生で習うレベルの漢字しか使えない。これから彼を応援していくには、この猛烈な背徳感と戦い続けなくてはならない。
それでもキラキラ輝きながら踊る彼を見ていると、お父さんお母さんあなたの娘は二十●歳にして中学1年生の男の子を好きになってしまいましたこんな娘に育ってごめんなさい、という罪悪感は全て吹き飛ぶ。そして胸いっぱいの多幸感で満たされ、心地よい背徳感が絶妙なスリルとなる。
こうして私は中学1年生の男の子を健全かつ合法的に応援するため、「中学生 漢字 習う」でグーグル検索をかけるのだ。