男性芸能人に「ゲイ疑惑」がかけられる理由

最近はだいぶ少なくなったような気もするんですけど、たまに、男性芸能人に対して、あの人はゲイではないか?という「疑惑」といいますか、「噂」が生じることがあります。ほとんどは根も葉もない噂にすぎないと思うのですが、そうした噂が出る人と出ない人がいて、その違いはなにか。噂が生じる理由について考えてみました。ぼくの仮説では、理由は4つ考えられます。


その1:独身で、女性関係の情報露出がない


噂が出る人はまずこの理由が大きいです。ある程度の年齢なのに独身。そして女性との「熱愛報道」とか、スキャンダラスな情報が出回らない。スキャンダルがなければ「品行方正な人」と言われてもいいと思いますが、それが「ゲイ疑惑」になっちゃうのは、

・人はなにか理由がなければいつか「結婚するもの」である
・結婚していない人は「恋愛をするもの」である
・男性であれば女性との結婚・恋愛を志向するはずだ

という、結婚するのが普通・恋愛は誰もがする・異性愛が基本、の前提があるからです。

実際は、人は異性愛者ばかりではないし、性的指向にかかわらず恋愛や結婚を望むとは限りません。


その2:ゲイコミュニティで見かけられた


「芸能人の○○は新宿2丁目でよく目撃されている」なんていう話がときどきありますが、たしかにそういうこともあるのでしょう。でもだからゲイだというのは早計。

まず、ゲイバーやケイクラブに出入りしているからといってゲイとは限りません。自身の性的指向と関係なく、そうしたお店が好きで来る人は多くいます。そのためゲイ専用とはせずに営業しているお店もたくさんある。

芸能人であれば、いろいろなお付き合いがあるでしょうから、そうしたお店に連れて行ってもらうこともあるでしょうし、コミュニティに友人がいることもあるでしょう。芸能人は目立つし顔が知られているので、たまたま見かけられたときに「○○が2丁目に来ていた!」と情報が広まるのでしょうが、「ただ、そのとき、そこにいた」以上の意味はないはずです。


その3:ゲイ男性に人気がある


ゲイ男性に人気がある人は、噂も出がちです。これはズバリ、願望でしょう。あのカッコイイ○○さんがゲイだったらいいな、という気持ちが、いつのまにか「そうだ」という話になってしまう。

そもそも、性的指向は外からはわからないのですが、「ゲイかも」と思うとそんなふうに見えてくる、ということもあります。文字通り根も葉もないイメージだけの流布です。

あと、少しニュアンスは違いますが、ゲイフレンドリーな言動があったり、役者さんであればそういう役を演じたりした、逆にアンチゲイ的な態度が影響している可能性もあります。

前者は「やっぱりね」みたいに受け取られ、後者は「隠そうとしてわざとああいう態度をとっている」みたいに思われる。人って勝手ですね!

その4:センスが「ゲイっぽい」とみなされている

「ゲイに特有のセンスやカルチャー」があるのかどうかと言えば、あるような気はします。しかしそれは、あくまでもコミュニティの一部で共有されているものにすぎません。

だから、すべてのゲイが同じセンスやカルチャーを共有しているわけではないし、そのようなセンスやカルチャーを共有していたとしてもゲイとは限りません。

そのようなセンスやカルチャーは、アーティスティックな分野で発揮されやすいので、芸能人は感化されやすく、また、芸能人は優れたセンスや才能がある人が成功しやすいですが、「ゲイは優れたセンスや才能がある人が多い」というステレオタイプ(です。みんながファブ5じゃない)があるため、ゲイだと思われてしまう。

以上です。

↓参考までに4つの理由を兼ね備えている例を挙げておきます(笑)。


しかし、この方がゲイかどうか、ぼくは知りませんし、また、動画貼っておいて言うのもなんですが、あんまりそういうことは言わないほうがいいと思っています。

なかには、さまざまな「状況証拠」によって、公にカミングアウントしていないだけで、ほとんど実質的に周知のことになっているけどゲイじゃないなんて言わないよ絶対、みたいな人もいるにはいます。

それでも、そうであっても、カミウングアウトするかどうかは本人の自由であり、秘密にする権利がある。そして、他人のセクシュアリティを詮索したり、勝手に決めつけてはいけないのです。

「勝手に決めつけてはいけない」には、「異性愛者だと決めつけてはいけない」という意味も含みます。

ただ、ここは非常に難しいところなのですが、カミングアウトしていない人は、しばしば、「異性愛者だとウソをつく」ことがあります。これは空気に負けてということもあるし、芸能人などはビジネス的な事情でそう言わざるを得ないこともあるのでしょう。本当は、そういうことをなくしていければ、と思うのですが。

一方で、今後、LGBTの可視化がどんどん進んでいくなかで、有名人でカミングアウトする人は増えてくるでしょうし、インタビューなどでつっこむメディアも出てくることでしょう。そういうとき、逆に、カミングアウトしてない人が悪い、みたいな感じになるのも避けたい。

セクシュアリティに関する感覚がもっとずっとカジュアルになれば、血液型を聞くように、気軽に質問してもいいと思うんですけどね。それには、セクシュアリティが持つ意味が、雑談における血液型程度に軽くなるのを待たないといけないかもしれません。

「いや、ぼくが言いたいのは……ゲイであること自体は悪いことでもなんでもないだろ。なのにぼくが否定したら、批判するのと同じじゃないか。だいたい、なんでそんなに騒ぐんだ? ぼくがゲイだからって使おうとしない監督がいたら、たぶんそれは問題だよ。映画館がデモに遭うとかね。でも、それ以外はただのゴシップさ――違うかい?」
――キアヌ・リーヴス
(参考: http://www.netlorechase.net/entry/2017/07/15/124911