失恋未満2

その人に最初に会ったとき、かっこいい人がいるな、やだな、と思った。わたしはそういう男の人が苦手なのだ。それが伝わったのか、相手も用件だけ言ってふいっとそっぽを向いてしまった。他の人とは親切そうに話しているので、少し気持ちがチリッとしたのを覚えている。でも、なれなれしい男の人よりずっといい。その人は、サングラスをかけるとわたしの初めての恋人によく似ていて(つまり鼻と口が似ていたのだが)、わたしは度々眺めてしまった。サングラスをしていると目線が見えないのでこちらからは眺めやすいのだが、相手にとっては無遠慮な視線だったことだろう。
地元の話になったとき、他の女性に、連絡してくれればどこでも案内しますよ、と言っているのを聞いて、わたしはまたもやもやした。単にわたしに興味がないだけで、そういう調子のいい人なのか。もしくは、わたしはなれなれしい男の人が嫌だと言いつつ、いい歳をしてちやほやされることに慣れているのかも、と思ったら自分が恥ずかしかった。その人の目がわたしを見ないことに、少し傷ついた。
互いに態度が軟化したのは、共通の趣味があるとわかったからだろう。目が合う、笑ってくれる、それだけのことがとても嬉しかった。なぜ他の女性がこの魅力に屈せずいられたのかわからない。まあわたしの好みもかなりニッチ的だとは思うのだけど。犬がいたらおしりを向けてコミュニケーションをとろうとするところとか、子どもに親切過ぎないところとか。全然おしゃれじゃなくて、服がくたびれている、寝癖もそのままなところがまたツボである。
別れる前になんとか連絡先を聞こうと思って、焦って、そんなときに限って目を合わせてくれなくて。
再会するとき、かなり時間が経った上に2人で会うのは初めてだったが、全く身構えなかった。絶対に楽しいはずだと思った、というよりは、ほとんどそうとしか思えなかった。相性というよりは、相手の間口の広さを測り取る、人見知りならではの嗅覚である。わたしは自他ともに認める男運の悪さだが、それとこれとはまた別だ。(恋愛対象として現実的に考えると、この人もかなり危険なのは間違いない。)2人で話すと、意外と頑固な人なのだなと思った。好き嫌いがハッキリしていて、安易な同調をしないのだった。たわいない話をいろいろしたので、意見が合わないこともいくつかあった。でも全く気にならなかった。(しかし今思うと向こうは気になったかもしれない。)
事情により1週間はメールの返事が来ないことはわかっている。その時間が辛い。公開しなかったノートに、片想いって楽しい!というようなことをフワフワして書き綴っていたのだが、今全くその楽しさはない。また会いたい。それが叶うかは1週間後の返事にかかっている。また会いたい、とりあえず、それだけ。