伝染

あの頃はそんな事普通だった。
古いタイプの上司がよく言うけれど、今となってはパワハラやモラハラは然るべきところに訴える事ができる。よくない事として認識されてきている。
今の仕事を何年か続けて色々な上司に当たったけれど、新人の時や若い頃の話を聞くと当たり前のようにハラスメントを受けてきた人が殆どだった。
それを他人にも押し付けるか否かで人としての器が問われるが、やはり自然と下の世代にも同じ事を繰り返してしまう人もいる。
私は上司に関して外れクジを引く事が多い。
面倒な人を押し付けられる事が少なくないのもあるけれど。
今の上司とは5年近く一緒に仕事をしている。わかりやすいお喋りパワハラ姐さんである。
この5年くらいで何をされたかは言い出したらキリがない。飲みながら3時間くらい愚痴を垂れ流す事が出来るレベル。
他人に厳しく自分に甘い。ご機嫌によって言う事が違うし、最悪当たり散らして部下を泣かせるような人だ。
私は役職もあるし、出来るだけ穏やかに接して部署内の空気を悪くしない事に努めている。でも、間違った事や空気をぶち壊すような事はどうしても許せないのでついキツく注意してしまう。強い気持ちと言葉を出さなければ、私や部下が潰れてしまう気がして。どんどん余裕が無くなっていく。
そんな風に過ごしているうちに、自然と態度や言葉がキツくなってしまっていることに気づいた。私は穏やかに過ごしたいのに。
疲れて愚痴が多くなって、ついに彼に八つ当たりみたいな事をしてしまった。
とりあえず休んで、と言ってもらえたのが救いだった。誰も私に休めなんて言ってくれなかったから。
数ヶ月ぶりに泣いた。
もしかしてパワハラやモラハラはこういう風に伝染していくのかもしれない。
私は自分がされて嫌だった事はしたくない。ここで断ち切りたい。