この人はほんとに。 シューズ見に行... by まいこ | ShortNote

この人はほんとに。
シューズ見に行きたいから一緒に行く?とMさんと一緒に出掛けた仕事終わり。あれこれと見て、試し履きをしていたら、Mさんの機嫌が悪くなっていた。店員さんの説明を遮って話し始めたり、挙句の果てには、どっかカフェ入ってる、と先に出て行ってしまった。あーあ、一緒に来るんじゃなかったなあ、と思う。
まだかかるの?とLINEがくる。いろんな靴を出そうとする店員さんにお礼を言って、慌てて外に出た。無表情のMさんがいる。わたしは謝らないぞ。靴を買いに来たら試着するのは当然だし、まだ30分も経ってない。
機嫌悪いの?
…そやな。
もう君とは二度と買い物に来ないよ。
そうしてや。
小学生じゃあるまいし、なんなんだよ。とわたしは思った。
そうやって不機嫌な態度を取って、店員さんにも失礼なことをして、それで良いと思ってるの?
おれは謝らない。悪いと思ってないもん。
近くのカレーを食べに行く約束をしていたから、お店まで20分くらい、1mくらいの距離を空けて無言で歩いた。こいつ、もう帰ってやろうか。カレーを食べ終わっても謝らなかったら、もう絶対帰る。とわたしはさらに心の中で決意した。
お店に着いたところで、Mさんが、もうちょっと歩いていい?と言った。それからわたしの手をぎゅっと握って、ごめん。
悪いと思ったの?
うん、ごめん…
そっか、わたしも待たせてごめんね。
全く、なんでこんななんだろ。と口には出さなかったが、Mさんはちょっとずつこぼした。
だってな、シューズのことはおれに聞いたらええやん。おれの方が詳しいもん。おれのこと、全然頼ってくれへん。あんな店員とずっと喋って。
ああ、そういうことだったのか、とわたしは思った。Mさんの中には寂しさの目盛りゲージがあり、それはかなり小さくて直ぐに空になるのだが、そうするとまずは怒りや不信という形で表明されるのである。本人も、そうやって表面に突出して初めて、寂しいという感情に気付くようなのだ。また、彼は今諸々の問題を抱えており、センシティブになっているのだろう、というのもわたしはわかっていた。(しかし、それでわたしや店員に八つ当たりしていいとは、わたしは全く思わない。)
後から、Mさんは素直に寂しさ目盛りを満たそうとする。
あのな、やっぱりできたら有休取ってほしいんや、おれ、ここ一緒に行きたいねん。
うん、取れますよ。だったら最初からそう言えばいいのに。
だってな、まいこ、「別に行きたいとこない」って言ったやん。そしたら言いたくないやん。でもやっぱり一緒に出かけたいんや。
おれ、まいこのこと好きすぎてちょっと自分に引く。と落ち込みながら彼は言う。でもそれは、この不安と甘えの落差の刺激が、彼をそう錯覚させているのじゃないか、とわたしは思う。わたしこそ、素直じゃない自覚はある。