以前のノートで僕の家は母子家庭だと... by ミスミ | ShortNote

以前のノートで僕の家は母子家庭だとお伝えしたのだが、ある日僕に家族が出来た。
右側で眠っている方が今年で7歳、パフェという名前だ。妹が名付けた。
左側でカメラ目線を決めている方が今年で5歳になる、カズという名前だ。こちらは母が付けた。おかげで、2人間でまとまりのない名前になった。
2人とも、産まれてすぐ僕達の元にやってきた。2人とも僕と誕生月が同じ、僕の大切な家族だ。
2人とも、妹が突然家に連れてきた。確か僕が中学生の時だ。
妹が父親や、母の知人にお願いしたら買ってくれたらしい。何気にこういうところ、尊敬している。僕は人に何かを買ってもらうのが苦手で、後ろめたさを感じてしまう子どもだった。
きっと妹は寂しかったのかもしれない。その当時は母は仕事ばかり、僕は昼間は学校に行かず家に居たが、学校が終わる頃には習い事へ行っていて、ほとんど家に居なかったから。
そして
何も知らない僕は、
家に帰ったら、犬が居た。
それが、パフェとの出会いだった。
最初は片手に乗るくらい小さかった。僕は怖かった、小さすぎて、怖かった。抱き上げることができなかった。落としてしまいそうで、まだ目も見えてるのかよく分からない子犬をどうしていいのか分からなかった。
そして
パフェが家に来た翌日、パフェが2階の階段から落ちた。僕はそれを見ていたが、抱き上げることができなくて、手で柵を作ったけれどスルスルと避けられて、そのまま階段から落ちた。生まれて間もない子犬が、目の前で階段から落ちて、吐いた。
僕はあの光景を忘れられない。
死んでしまった、そう思った。
ミルクを温めていた妹が現場を見て目を丸くしながら僕を叱った。
「どうして抱き上げることさえ出来ないのか」と。
パフェはしばらく痙攣が止まらなかったが、翌日にはフラフラと歩けるようになった。この手で小さな命を殺めずにすんだことを、僕は神様に何度もありがとうございます、と呟き、毎日家に帰ったらパフェを抱き上げる練習をした。やっぱり腕が震えた。それに反応するようにパフェも震えていた。つまり、2人で震えていた(笑)
それからパフェはしばらくの間、階段を怖がり、降りることが出来なかった。しかし、妹達からすれば逆にそれは好都合で、階段に柵を作らずともパフェは階段へ近づくことはなかった。
僕は階段を降りるたび、自分も降りたそうに僕を見つめるパフェを見て、胸がズキンとしていた。
中学生も終わりに差し掛かり、引越しが決まった。
高校に入学したらすぐ新居に引っ越すことになった。卒業式まであと少し、、僕は中学校にはほとんど通えなかった。それでも中学生を卒業できるのは、かけがえのない友人がいたことと、担任にたくさん迷惑をかけたからだ。いつかこの話もしたいなと思っている。そういえば、卒業予行演習にすら出なかったなあ。
卒業式まであと1週間くらいだったかな。そんな時僕が1階の玄関でパフェの散歩の準備をしている時にパフェは2階の階段の前で回っていた(笑)
もうお馴染みの光景。散歩に行きたくてたまらないが、自力では降りられないのだ。
その時、1階の自室にいた妹が
「パフェ、降りといで」と言った。
そうしたら
パフェはゆっくり階段を降りてきた。
僕は本当に驚いた。今までどうやっても降りてくることは無かったからだ。それと同時に僕は泣いた。
パフェに許された気がしたからだ。
産まれてすぐ階段から落とされて、それを償うように愛を注いでいた僕をどこかで憎んでいるって思っていたから。
ありがとう、ありがとうって連呼した。
パフェの鼻はびしょびしょに濡れていて、「そんなことより早く散歩に連れていってくれ」と言わんばかりだった。散歩の間中、泣いた。嬉しくて泣いた。
そしてその晩、1階に降りれるようになったパフェは1階の僕の部屋に来てオシッコをした(笑)
きっとアレが復讐というやつだ。
僕は復讐を甘んじて受け入れた。
犬は昔のことをどれくらい覚えているのだろう。僕はあの日のこと絶対忘れることはないだろうと思うのだが、パフェはもう忘れているのだろうか?だとしたら、有難いような、寂しいようなそんな気分だ(笑)
パフェの犬種は寿命が7年だと聞いたことがあるのだが、アイツは今も元気に散歩をしている。アイツが僕の前からいなくなってしまうその時まで、僕は側にいたい。
もう1人、カズが家に来たのは高校生になってからだ。その話もいつかしたいと思っている。