わたしの黒歴史21

中2の頃、同じ卓球部の部長が急にカッコよく見えてきて勝手に燃え上がるように恋をした。練習中は目でボールを追いながら常に同時に部長の姿も追い、
「ッシャー!」
と得点を決めた彼の声が聞こえる度に心の中で
「よっしゃ!よっしゃ!いよっしゃあああああ!!!!!」
と一緒に歓喜し、
「こっちに飛んできたボールを取りに来た部長がうっかり転んだ拍子に私に覆い被さってくればいいのに」
など、毎日毎日赤毛のアンもドン引きするくらい想像の翼を広げていた。また、友達と一緒に考えた部長のフルネームを頭文字にした呪文
「たくあん カリカリ 歯が痛い しかも 豆を コリコリ 止まらない」
をブツブツと唱えては悦に入っていた。
そんな日々を重ねるうち、ついにその想いは隠しておけない程大きくなった。当時私は「恐るべしっっ!!!音無可憐さん」というドラマにハマっており、想い人に恥じらいもなく正面からアタックしていく主人公可憐さんにいたく心を打たれていた。もう大体想像がつくと思うが私はこの可憐さんの行動を完全コピーして部長にアタックすることにした。ある日の放課後、部活を終え自転車に乗って帰る彼の背中に向かって
「部長ぉぉぉ!!大好き〜!!」
と大声で叫んだ。絶対に聞こえているであろう部長は1ミリも振り向かなかった。他の生徒たちは振り向いた。
それから何のリアクションも貰えないまま膨らみ続ける恋心を持て余していたある日、部活に行こうとしていた私は卓球場の入り口に一人で座って目に涙を浮かべている部長を発見した。そんな姿は初めて見たのですごくドキドキした。今ならそっとしておくのが正解だとわかるが、脳味噌がピンク色になっていた私はとにかく愛する人を励ましてあわよくば懇ろな関係になろうと、
「どうしたんですか?」
と声をかけた。相当ワクワクした顔をしていたに違いない。部長の返事はなかった。これは相当固く心を閉ざしているな、こういう時は強く気持ちを揺さぶる言葉をかけなきゃ!と直感的に思った私は、
「そんな風に落ち込んでるなんて部長らしくないです!そんな部長は…そんな部長は…嫌いですっっ!!」
と言い捨てて、行こうとしていた卓球場とは真逆の方向に意味もなく全力疾走した。
その日以来優しかった部長は私と一瞬たりとも目を合わせてくれなくなり、そのまま卒業していった。数多い黒歴史の中でも漆黒の思い出。