逆転の瞬間

先週、私の財布のポケットからクリーニングの引き換え券が出てきた。
ずっとその紙きれをレシートだと思いこみ、そのまま挟んでいたらしい。何を出したんだっけ?と確認すると、夫に頼まれたワイシャツだった。仕上がり日は去年の12月。半年近く経っている。ギョッとして胃がキュウッとなった。
ヤバイよヤバイよ、バレたらきっと色々うるさいぞ、とひと通りうろたえた後、(面倒くさいから明日行こ。)と落ち着いた。
その日の晩、知っていたかのように夫が「そろそろあのワイシャツ、出してくれる?」と言ってきた。ビクッと1cmぐらい浮いたと思う。
「ごめん、実は〜取りに行くの忘れてて。明日行くから」と言うと、もーー!何やってんのと言いながら「じゃあ、こっちのワイシャツも出してきてよ」と新たなワイシャツを何枚か受け取った。「オッケーオッケー」と満面の愛想笑いでその場を乗り切った。
翌日、忘れていたことをお店に詫び、新しく出すワイシャツと、半年前のワイシャツを交換して帰ってきた。
無事に夫も綺麗になったワイシャツで仕事に行っていたのだが、数日経ってから「そう言えば、引き取ってきたワイシャツは6枚あるはずだが4枚しかないぞ」と言い出した。
え?だって持ち帰ってきてそのままクローゼットに入れましたよ?という旨を伝えたが、「受け取る時、何枚あったか確認してないのか」とねちねち言われて腹が立ってきた。
人の物なんかイチイチ確認しないわい!
おまえのそういう所、良くないぞ!
はっ、だったら今度から自分で行きなよ!
、、、というやり取りをして、私もかなりプンプンだったのだが、確認しなかったことを悔やみ、なぜ二枚足りないのかを真剣に考え部屋の中を探して歩いた。
…やっぱりどこにも無い。
夫が業を煮やし、「次に出したワイシャツも何枚あったか確認してよ」と言うので(ヘイヘイ)と財布の中の引き換え券を調べる。「6枚だよ」「あ、そう」の会話のあと、恐らく二人同時に(あ〜〜れぇ〜〜?)というある思いが頭をよぎる。6枚って最近出したやつの数で、前のやつは初めから4枚だったんじゃ…?
夫の声色が急に柔らかくなる。
「ぁ、風呂入ってくるねー」
逃げた。