こども

先日、朝からビルの中で仕事をしていると道路からこどもの大泣きする声が聞こえてきた。
抱っこしてー!! やだやだー!!!
チラッと見ると、1歳くらいの赤ちゃんを抱っこしているお母さん。幼稚園の服を着た女の子が道路にひっくり返って泣き叫んでいた。
朝の通勤時間帯、人は忙しなく歩いていて親子に声をかける人もいない。
ビルの仕事をし終わる10分近くの間、女の子は泣き叫び続けていた。
わたしが道に出ると、赤ちゃんはお母さんから降ろされて、お母さんは幼稚園の子を抱いてしゃがんでいた。
それでも泣き叫んでいる女の子。
加えて降ろされた赤ちゃんも泣き出して。
考える暇もなく、わたしは近寄って赤ちゃんを抱き上げた。
「お母さん、幼稚園に行きましょう。」
お母さんはびっくりと笑顔と涙の顔でわたしに頭を下げ、すみませんすみませんと言いながら幼稚園の女の子を抱き上げて歩き出した。女の子は泣き止んだ。
「わたしも子どもたちに泣かれてどうしようもなくて3人で大泣きしたことありますから。」
お母さんの愛情を一身に受けていたのに赤ちゃんが現れて、お母さんが自分だけを見てくれなくなって、我慢するんだけど我慢できなくなる時がある。
たまらなく悲しくてどうしても自分だけをぎゅーってして欲しい時がある。
赤ちゃんは最初のうちはお母さんに手を伸ばして泣いていたけど、ママ横にいるねー、あ!きりんさんだ!などとずっと話しかけていると、気をとられるのか泣き止んでわたしの話を聞いていた。
幼稚園に着き、お母さんはわたしに何度も頭を下げた。
バイバイ!と、女の子と赤ちゃんにお別れしてわたしは足早に仕事に戻った。
朝から気分が悪く吐き気がしていたのだけど、この一件でふっ飛んだ。
子育は大変。
どうしようもない時がある。
15年近く前、こんなことがあった。
モスバーガーの店内で一人座っていたら、3歳くらいの男の子と新生児をベビーカーに乗せてお母さんが入ってきてカウンターで注文をし、番号札をもらいわたしの横の席に座った。
男の子は嬉しそうにそわそわちょろちょろ。
それをお母さんはイライラして、黙って座りなさいと怒っていた。
ストレスがたまっているんだなあ、大変だなあと思った。
そこに小さな小さな桜の花のような赤ちゃんが一声
ホンエー
と泣いた。
可愛い!抱っこしたい!と赤ちゃんを見ていたら、お母さん
「あー、まただ!」
と小さい怒りに満ちた声で呟き、番号札を手に持ち、男の子の手を引っ張り、席を立った。
男の子はびっくりして、ハンバーガーは?というのにお母さん
もう食べない!
と言って、番号札をカウンターにバン!と叩きつけ、大声で
いりません!
と言って店を出ていってしまった。
男の子の店の外で泣く声が聞こえた。
店員は唖然。
その時何もできなかった自分が情けなかった。
ずっと、ずっと心にあった。
だから、先日の出来事は考えるより先に体が動いたんだろうと思う。
あの時わたし赤ちゃんを抱っこすればよかった。
声をかければ少しはお母さん違ってたかも。
男の子可哀想だった。
お母さんも可哀想だった。
そばにいたのにごめんなさい。
子育ての辛い思い出が一つでも減るように。
見ず知らずの誰かが助けてくれたと、嬉しい思い出一つ増えたら嬉しい。