Paradise of life


「僕、この会社に入社したのが24歳の時なんです。
だから一番いい時期を、僕の夏の季節を、この会社に捧げているんですよ。」
そう、ボーナス査定前、部下から言われたそうだ。

「おお、そうか。ありがとうな」って答えて、わざと流したんだけど、実はドキッとした。
「俺の一番いい時期は、夏の季節は、もう過ぎたよなあ」ってふと、思ってさ。

元同僚の彼が言う。

「もちろん、だからって、若さに負けているってつもりもないんだけれど。
でも、俺、もう夏の季節生きているんじゃないよなあ」って。

ああ、そうかもしれないね。
だけど、凄いね、その人。
ちゃんと自覚があるんだ・・・ってわたくし。

そう、わたくしだって、とっくに夏の季節、過ぎているんだけれど
その夏の季節の最中、自覚なんかなかったもの。

夏の季節かあ・・・過ぎて初めて判る、勢いのシーズン。

そうだよなあ。
俺さ、なんか、ちょっと終わる事も考えちゃって。

終わる事?

まだ先ではあるけれど、定年のこと。

貴方、取締役になってるから、通常の定年ってのは関係ないんじゃないの?。

まあ、そうかもしれないけれど

仕事にもさ、終わりがあるんだよなあって思ってさ。

・・・まだ早いよ。

ああ、まだ早いけどさ。
今まで仕事に終わりがあるなんて、ちらっとも思わなかったのに。

そっか。

うん。

そうだね。
でもさあ、それはそれで、案外、その時期が来たら、色々忙しくなると思うけどね。

そうかな?

そうだよ。
・・・あんたみたいな奴が、家にじっとしている訳がないし。

アハハハそっか~。そうかもな。アハハハ。

俺、定年後はtonchikiの所に転がり込もうかな。
あ・く・ま・で・も!友達の共同生活って奴をしに。

・・・何処に力入れているんだか。
いいけどさあ、その提案での、わたくしのメリットは何よ。

・・・う~~ん。
とりあえず・・車で色々連れまわしてやる。

あ、それなら、ほら、彼女も誘おう。
彼女、料理も上手だし。美人だしさ。生活に潤いが出るわよ。
3人で暮らすってのは、どうよ。

お!いいねえ。
可愛いのはいいよな。うん。いいよなあ。

でしょう~???

バカ話をしながら
2人共、いまだ手に入らぬ、それぞれの夢のことを考えていた。

夏の季節を過ぎて
今、どこらへん?
わたくし達は知っている。



・・・また、飯でも食おうぜ。

御馳走してくれるならね。

判った、判った。

それじゃね。

うん。それじゃ、また。


それじゃあ、また。