おひなさま

何年も何年も前
祖母がまだ生きていて
元気だった頃
祖母と母と三人で
四国の松山へ旅した。
目的は祖母の看護学校の
同窓会行きをエスコート。
祖母が旧友との楽しいひとときを
過ごしている間、私は確か母と
温泉に入りそのあと買い物をした。
その土地の陶器で作られた
おひなさまを見ながら
母が言った。
「あんたがもし女の子生んだら
おひなさん買うたるわ。」
とはいえその頃私のお腹は
誰を宿しているというわけでも
なかった。
祖母の旧友に、もし会ったら
「『学生です。』って
言いなさいよ。」
母に言われた。
ああ結婚後、数年経ち
妊娠していなくて、それなりの歳で…
だとおかしいわけか。
学生で通じる雰囲気だったと
思う、その頃は。
数年が過ぎ息子が生まれ
その三年後、次の子を授かった。
授かったけれど、この世で会えることはなかった。
夫が綺麗な名前をつけてくれた。
今日は桃の節句。
オカンと兄ちゃんがお雛様に
供えるお菓子を作ってますよ〜。
空から見えるかな〜?