敗者復活期間

 若者達が楽しんでいる姿を見ると、羨ましいなあと思う。
 私は過去の所々に、悔いを残してきたからだ。
 意気地があれば、もっと楽しめたはずだ。

 気晴らしに、歳を重ねて良かったと思うことを並べてみた。

 歳とともに酒が弱くなった。
 ましてや働き盛りの時のようなストレスもないから、350mlの発泡酒に80ccのウイスキーを水かお湯で割って、ちびちびやればいい塩梅になる。
 つまり、だらだらと時間をかけて飲むことはなくなり、家計に優しく、健康診査の数値も改善したのだ。

 ガッツリ寝なくても大丈夫。
早起きすると得をした気分になる。爽やかな朝は、頭の中を整理するのに好都合だ。
 早寝早起きは、体調をしっかりと整えてくれる。

 フルタイムで働かなくても何とか食べていける。
 家のローンがどうにかこうにか終わり、他に借金もない。
 「ああ、明日もまた仕事か」「時間がほしい」といったぼやきは死語になった。

 以前に乗っていたような大きい車はもういらない。
 用はなくなったし、カッコつけることに興味もなくなった。軽自動車で十分なのだ。そう思うと、かさぶたが自然に取れたようでスッキリする。
 また、車の怖さを知り、命の重さをもっと知り、安全運転に徹するようになった。

 ウオーキングは爽快だ。
 澄んだ青空と遠くに立つ山々、田畑を滑る風、散在する古民家という一枚の絵に優しく抱かれる。全てを理解されているような気さえする。血圧も正常になった。
 足元に咲く花に、きれい・かわいい・ありがとう、と思える自分に、「いいね ! 」をつけている。

 筋トレをした後の疲労感と達成感がたまらない。
 筋肉を刺激しながらたくさん息を吸って吐き、ストレッチで全身をほぐす。
 そのせいかめったに風邪をひかず、腰痛はなくなり、お通じも快調である。

 気が向けば趣味のそば打ちをやる。
 家族や客人には、毎回高評価をもらっている。

 家庭菜園は昔から興味があった。
 しかし休みの日は体を休ませるか、他の遊びや子供の相手などであっという間に過ぎてしまった。今ではじっくりと土と向き合い、年々収穫も上がり家族に喜ばれている。

 そして今日も、350mlの発泡酒と80ccのウイスキーで一日を締め、早めに床に就いて早起きに備える。

 もっと考えればまだありそうだ。
 なんだ、歳をとるのも意外といいじゃないか。

「敗者復活期間」という救済制度がある。これはありがたいことに、誰でも年齢にかかわらず、どんな状況でも申し込むことができるという。