キン肉マン消しゴムの件

どこまでも青く広がる空を、わたあめみたいな白い雲がのんびりおよいでいた。
こんな事を思い出した。
幼稚園時代、おおばぁ(曾おばあさん)が亡くなった。
まだまだ亡くなる意味も分からず、
ただなんとなく、祖父にこんな事を聞いた。
私「ねぇ、おおばぁはどこに行くの??」
祖父「これから空に向かって旅をするんだよ。お空の上でずっと見ててくれるんだよ。ずっと見守ってくれているよ」
こんな感じの事を言われた記憶。
でもこの時は死という意味がまったく分からなかった。
それから、月日は流れ小学校2年生の時、滑り台から落ちて同級生A君が亡くなった。
この時にようやく「死」がどういう物なのか分かった気がする。
この時に、おおばぁが亡くなった時に言われた事を思い出した。
人間は死んだら空の上に行く・・・
私はこれをどう勘違いしたのか、
死んだら雲の上で生活をする・・・・・・ 。
雲の上には亡くなった方が沢山いる
と思い込んでしまったのだ。
それ以来、私は雲の上には死人がゴロゴロと生活をしているものだと思っていた。
そこに違和感はなかった。
だから、いつも空は見ずにいた。
そして、困ったことに、
その直後、家族旅行で飛行機に乗る機会があった。
非常に困った。
泣きわめいて、断固飛行機に乗る事を拒否しつづけた。
それでも、無情にも旅行出発日はきてしまった。
最終手段、私は空港で大暴れをした。
飛行機に乗りたくなかった理由は・・・
空の上にいる死体が怖いのもあった。
でも実は、、それより怖いことがあったのだ。
実は私、
亡くなったA君の筋肉マン消しゴムを借りっ放しだったのだ。
幼心にもどんな顔をしてA君に逢えばいいのか悩んだのだ。
親に飛行機に乗りたくない理由を聞かれても口をつむんだままだった。
理由を言うと
「借りたものを返さないなんて」と叱られるのが怖かったのだ。
結局、首に縄状態で飛行機に乗せられた。
一応こっそり準備は出来ていた。
実は私。
機内に筋肉マン消しゴムを持参していたのだ。
ポケットにこっそりキン肉マン消しゴムをしのばせていた。
もし空の上で、A君に逢えたらこっそり返そうと思ったのだ。親にバレる前に、事務的に返却。
なんて酷い奴。
結局、空の上には死体などなく、勿論A君にも逢えなかった。
結果、私はその旅行で筋肉マン消しゴムをなくしてしまった。
いやまてよ。
きっとA君がこっそり持ち帰ったのかも知れない。
そうであって欲しい。
いやきっとそうなんだよ。