センター

私達の暮らしを一瞬にして消し去ったのは人間の「女」だと言う。
彼女らは地球上で「最恐」の生物だという。
よく食べ、けたたましく、実行力に富み、お節介で、怒りっぽく、頑丈で、「死なない」
アパート暮らしが、唐突に終わりを告げた途端に、今まで縁の無かったこの手の連中がついて回る事になる。そして私は「強過ぎる」「うるさ過ぎる」ものは苦手だ。
気がついた時にはそこに居た。
金属の格子の部屋には私しかいなかった。
「気分はどう?」
優しそうな声がした。
見ると、人間の女がいた。
この前の女達よりは優しい感じがした。
私は人間には慣れてないので身構えた。
「びっくりしたね。その内慣れるよ」
…ソノウチ…ナレル…⁇
何かが引っかかった。
そこは「センター」と呼ばれていた。
私のように住処を失くした犬猫が集められた。
少し前までは「宿無し」達はここで「始末」されていたが、現在はここで新しい飼い主を探すところになっていた。
何回かの昼と夜を過ごした。
女は時々やってきた。
女は監視人たちに「先生」と呼ばれていた。
「先生」は私に
「慣れた?」とか
「調子は?」
といいながら「診察」した。
私はこの「診察」も苦手だった。
「アパート」から外に出たことが無いので、
何もかも落ち着かなかった。
「センター」の人間や、「先生」に
「帰りたい」と訴えたり、脱走を試してみたが、無駄だった。
「センター」の食事は「乾物」のみで味気なかった。それでも1人なので、ゆっくり食事が出来た。少々不味くても、周りを気にして詰め込めるだけ詰め込む食事よりは全くマシであった。