月曜日の朝に

早朝、マンションの2階のベランダで、男性が煙草を吸っている。彼がそのまま見下ろす駅のホームに、山手線は到着した。
その電車に乗っていた私は、目の前のドアが開いて見上げた先に、男性を見た。お互いに目が合った。そのマンションはホームから近かったから、相手の様子はよく見えた。彼は身支度を整え、ジャケットだけはまだ着ていなかった。出かける前の一服のようだった。
月曜日のありふれた光景だ。彼はきっと毎朝ベランダで煙草に火をつけ、吸い終わるまでに数本の電車を見送るのだろう。そのたびに何人かの乗客と、目が合うだろう。客が彼を見る。彼も客を見る。見る人と見られる人。
どちらかが幽霊だとしても、わからないな。
あのマンションには、そんな気配が少しだけあったんだ。