過去(仮)

「無くしたピアスなんてもう見つからないものよ」と母が言った。
その言い方に妙な余韻があったので、(母はピアスを無くしたことがあるんだ…)と私の考えが何故か明後日の方向に飛んだ。
ピアス失くす経験は大抵の人にあるだろうけど、私の母がピアスを失くしたことがある(かもしれない)、というのはなかなか新鮮な印象を与える。
いつもの母がとても真面目で几帳面だから、という理由では決してない(失礼)。
母にピアスを失くした過去があって、それが母の心の中に残っているということが私をソワソワさせるのだ。
お喋りが大好きで自分が一番正しいと思っていて体重計に乗るのが怖くてディーンフジオカのファンで最近は高橋一生にもときめいていて草取り中に見つけた青虫の写真を娘らのLINEに送ってくるような母に、である。(だからこそ、なのかもしれないけれど)
…うーん、青虫云々は取り消し!
なんて言うんだろうなー、母にも過去があるという事実は、当たり前っちゃ当たり前なんだけど、娘の私にとってそれは驚くべき発見なのだ!
どんなピアスを母は失くしてきたんだろうなぁ、自分で買ったのもあれば誰かからもらったものもあったかもしれないなぁ、とか色んな過去(仮)が勝手に私の頭の中で再生される。
私の世界に入ってくる前にだって、母を始めとする色んな人たちの世界はあるのだ。
何だか面白いねぇ。
至極当たり前のことなんだけど。
私の中でここまで広がった「失くしたピアスは見つからない」案件ですが、私のピアスは見つかりました。見つけたのは母でした。ありがてぇありがてぇありがてぇ。
ほんとまだまだ私はお子様なんだなぁとしょんぼりんごりらっぱせりです。