ライスカレーは、おばあちゃんの味

「なあ、相談があるんだけどさあ……」

友人の家で宅飲みをしていたら、えらく真剣な顔で切り出されました。

「昔さ、子供の頃、夏休みになると、田舎の婆ちゃんチに預けられてたんだけどよ。
 あの頃、婆ちゃんがつくってくれたライスカレーをさ、食べたいんだよなあ……」

ライスカレー。
今の若い人には馴染みのない言葉だけれども、昭和のご老人(明治生まれや大正生まれ)はカレーライスをライスカレーと呼んでいました。

「あー、ライスカレーかあ。随分とつくってないけど、一般的なやつだったらわかるよ?」と私が答えると、友人は顔をぱっと明るくして「マジ! つくれんの、おまえ!」と大きな声。

「色々と挑戦してみたんだけど、なかなか婆ちゃんがつくってくれたライスカレーにはならなかったんだよ!」
「わかった、わかった。で、婆ちゃんの田舎ってどこらへん?」
「婆ちゃんは、足柄の方」
「ふむ…… 了解。買い物付き合えよ」

ってなわけで、お酒を飲んでない友人奥さんの運転で近所のスーパーに。
買うものは、干し椎茸。あとは豚こま。お芋は男爵いも。

ライスカレーの基本は、出汁つゆづくり。
干し椎茸2-3枚を軽く流水で洗って汚れを落とし、砂糖と削り節1パックと共に水450ccと弱火で煮出す。
沸騰してきたら、醤油を大さじ3。みりんを大さじ3。酒を大さじ1加える。再沸騰したら火を切って、そのまま、冷ます。
(粗熱が取れたら、鰹節を濾し、干し椎茸を取り出して、ぎゅうっと絞る。出した戻ししいたけは醤油と味醂とお砂糖で甘辛く煮付けると美味しい)
(面倒な人は、そうめんつゆでも可。麺つゆでもいいですが、やや甘くなります)

その間に、野菜を切りますが、全て大きめに。じゃがいもは、小さめのものは半分でもいいでしょう。
※面取りしない。

鍋に中火にて豚こまをサラダオイルでしっかり炒める。軽く色づくくらいに。
中火のまま、野菜(玉ねぎ、じゃがいも、人参)を炒める。
野菜の表面を油が覆ったら、出汁つゆを鍋に入れる。
沸騰するまで強火、沸騰したら細火にして蓋を閉める。
時々かき混ぜながら、約20分煮込む。

さて、ここからカレー粉(大さじ2)と小麦粉(大さじ2)を加えますが……
普通、カレーライスの時には、油で炒めてルー上にします。しかし、ライスカレーの時は、粉のままで入れます。
ダマになりやすいので、丁寧に何度かに分けて、スープに加えていきましょう。そして、よくかき混ぜる。
(ガサツな人は、一度、小麦粉だけを電子レンジで数十秒加熱すると、ダマになりにくくなります)
カレー粉と小麦粉を加えたら、ゆっくりかき混ぜながら、小火で5分煮込みます。

さあ、これで完成。
明治、大正の人が食べていたライスカレーの出来上がりです。

「ああ、これだ、これ!
 普通のカレーライスとナニが違うわけ?」

「まず、ベースは、出汁つゆ。海の近くだったら鰹節や鯖節ベース。山の方だったら干し椎茸ベース。
 そして、とにかく油が少ない。昔は油が貴重品だったからね。
 あと、昔はもっとカレー粉が少なかったと思うよ。カレー粉は高かったからね。
 じゃがいもは面取りしてないから、随分と壊れてるでしょ。この壊れた部分が、ライスカレー独特のとろみになる。
 昔は、これにウスターソースをかけて食べたりする人もいたね。やや味が薄いから。
 それから、カレー少し残してタッパーに入れ替えて、明日、食べてみな。そのほうがドロドロッとして、もっと昔のカレーっぽくなるから」

「カレーライスは、ルーとライスが別。ライスカレーは、皿にルーとライスが一緒」なんて説もありますけれどね。

本格的なインドカレーや、丁寧に作った欧風カレーもいいですが、
こんな感じのライスカレーも、たまにはいいもんです。