好きになるって、なんだろう。

はじめて男の子を好きになったのはいつだろう。
たぶん6歳くらい。とてもお勉強が出来た子だった。その次好きになったのは、かわいい顔した男の子。肌の色が白くて、ひょろりと細くて、絵が上手だった。
しばらくその子以上に印象に残る子もいなくて、私はやがて中学生になり、高校生になる。
浅野忠信かっこいい!豊川悦司かっこいい!堤真一かっこいい!
その一方で、田原俊彦によく似ているバレー部の先輩にハマり、一時黄色い声援を送っていた。しかしにわかファンなので、試合にまで顔を出すことはせず。
部活動には参加せず、塾にも行かず、アルバイトもしていなかった頃は本当に、自分の心のやり場に困っていた。
自分はどこへ向かって進めばいいのか分からない。誰かに必要とされたい気持ちだけが心の中に少しずつ蓄積されていった。
しかし特に社交的でもなく、容姿に恵まれているわけでもない私は誰かから声をかけてもらうこともなく、日々は過ぎていった。
高校生活も二年目に入った頃だったと思うが、同じクラスに気になる男の子が出来た。陸上部に所属し、美大を目指している男の子だった。何となくミステリアスな雰囲気。
席替えになって彼のすぐ後ろの席になった時、とっても嬉しくて、ある朝彼から「おはようございます」と声をかけてもらった時は嬉しかったなぁ。
同じクラスの何人かと休日遊ぶことになって、彼だけ風邪をひいて来れなかった時、はじめて電話で数分間話したことがある。
教室にいる時の彼とは違って、とても近くに感じられた。電話を終えると、「なんだよ〜、付き合ってる二人の会話みたいだったぜ!」と、まわりの子たちにからかわれたっけ。
でもその後私と彼の関係は何も進展しなかった。
結局彼自身のことが好きかどうか自分自身分からず、それよりも孤独を埋めてくれる仮初めの関係を望んでしまうほど、寂しさは極限にまで達していた。
今の夫と出会うまでの8年間、私は真に人から好かれることはなかった。
「好き」だと言ったことも言われたこともあったけれど、それは本物だったのかよく分からない。錯覚だったような気がする。みんな寂しかったんだ。年を取った今ではそう思える。
人を好きになるって、どんな感覚だったろう。
同じ時間を過ごして、苦楽を共にして、その中で相手の好きなものや、考え方を聞いて、尊敬の念を抱いていたら、いつの間にか相手の存在が自分の人生に欠くことの出来ない存在となって、自分が弱っている時や困っている時に傍にいてほしいと願うようになる。
今もしあの頃の自分と話せるなら、きっと私はこう言う。
「まずは自分を好きになって。たくさん学んで、いろいろなことに恐れずに挑戦して。どんな結果でもきっとあなたの糧になるから。必ず誰かがあなたの努力を見ているから。そうしていたら、あなたの隣に素敵な人が現れるわよ。その人がいるとあなたは心の底から安心できるの。」