ちょっと待って

時間の流れが あまりにも速い今の時代
目の前のやらなくてはならないことは数多く
それでも時間はどんどん過ぎ去り 気持ちだけが 先に行き
自分の中で 自分に対するイライラがたまり
時には そんなイライラを つい他人にあたってしまう事だってある。

今や介護施設にいる夫の母 もう息子の事も誰だかわからない。
昔は とても優しい母だった。
いつもニコニコ 怒ったところなど見た事がない。
何を言われても言い返す事などしない それはそれは穏やかな人だった。
そんな母が 食事で車いすに移ろうとする時 介護士さんが手伝ってくれる。
お食事ですよ 車いすに移動しましょうか。
母は介護士さんの手をふりはらい 何すんだよ!と叫ぶ。
介護士さんも その言葉に 今日は機嫌がわるいみたいだと言う。
そしてひと呼吸 お互い何を感じ 何を思っているのやら。

そして今や介護施設にいる私の母 もう私の事も誰だかわからない。
昔はとても厳しい母だった。
私の子供の頃の記憶は いつもいつも怒られて泣いていた記憶ばかり。
そんな母が 食事で車いすに移ろうとする時 介護士さんが手伝ってくれる。
お食事ですよ 車いすに移動しましょうか。
母は体をゆっくり動かし ちょっと待ってと言う。
そしてまたゆっくり体を動かし ちょっと待って。
介護士さんも その言葉に  大丈夫ですよと言ってくれる。
そしてひと呼吸 ふた呼吸 み呼吸 時間がかかる。
お互い何を感じ 何を思っているのやら。

この歳になっても いまだ母親に学ぶ事が多い。
介護士さんは毎日時間に追われ 忙しいのだけれど
人は皆 それぞれ時の流れが違うから
ちょっと待って 他人に合わせなくてもいいんだよ。
ちょっと待って 自分のペースでいいんだよ。

今日 お店のレジで おばあさんが 小銭を探してお財布の中をごそごそ
ポイントカードを探してポーチの中をごそごそ
大丈夫ですよ。静かにじっと待っていた私。
さぁ家に帰ったら 夕食の支度だ!
のんびりお菓子を食べている場合じゃない。
フルーツロールケーキ
切ったら なんだか不公平
知らないふりして 旦那のお皿へ
お茶にしましょう。