ブックレビュー『20世紀ラテンアメリカ短篇選』

野谷文昭=編『20世紀ラテンアメリカ短篇選』(岩波文庫)読了。
20世紀ラテンアメリカの短編小説から選りすぐられた16編。
先住民の信仰をモチーフとするもの、征服‐被征服テーマ、
マチスモ、奇想、都市生活者の孤独……等々。
翻訳の力量に負うところ大だと思うが、
どの作品もイメージの喚起力が強く、最後まで楽しんで読めた。
編訳者の解説(p.389-390)に、

 > インターネットの時代が訪れ[略]多くの事項が検索できるようになり、
 > [略]それはとても便利であると同時に、外国文学の読みに変化をもたらしもした。
 > つまり想像力が必要な場面が減ったのだ。
 > 想像する前に画面が現れ、正体不明だったものの正体がわかってしまう。

と、文学に対するネットの功罪に触れた箇所があるのだけれども、
問題は外国文学に限らないのではないだろうか。
ヴィジュアルインパクト(それも大切だが)にばかり注意を向けて、
目に見えないもの、見えにくいものを自分なりに捉えて解釈し、
脳内で再構築するという読書の愉楽を忘れつつある、あるいは、そもそも、
そうした悦びについて教わっていない人が増えている気がするのだが。
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