それが一番大事

一昔前、大事 MAN ブラザーズバンドという時代の徒花の如き一発屋バンドがいたのですが、「それが大事」という曲が大ヒットしました。
この前、インターネットで見る機会があったのですが、彼らのヒット曲「それが大事」の歌詞の中に「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じ抜くこと、ダメになりそうな時それが一番大事」という一節があります。人生を生き抜く上で非常に大事である歌詞だなと改めて感じました。
今から何十年も前のことですが、ある私立高校の集団面接試験を受けたときのことです。大塚君という同じ中学校の天然キャラがいたのですが、彼と同じグループでした。大塚君は相当テンパってた様子がありありと見えました。
面接官が名前や受験番号を一人一人に尋ねた後、「なぜ、この高校を志望しましたか?」と大塚君に尋ねたのです。
それに対して、大塚君は「僕の名前は、大塚サトシです!」と米良良一も真っ青のハイトーンボイスで答えていました。いや、だからアンタそれはさっき答えたやん。志望動機だよ! とみんな心の中で突っ込んだことは言うまでもありません。
しかし、彼はそれからずっと黙ったままです。重苦しい沈黙がその場に流れます。どうやら大塚君は言うべきことをわすれてしまったようです。ですが、最後に意を決して「大塚サトシだからです!」と、まっすぐな目をして答えていました。
何ですか、このアッパラパーな受け答えは。漫画キン肉マンに出てくるセリフ「屁のツッパリはいらんですよ!」
「言葉の意味はわからんがすごい自信だ!」のやり取りぐらい意味不明ですが、まさしく「逃げ出さないこと、信じ抜くこと」じゃないですか。しかし、あまりにもその受け答えが面白かったため、僕は吹き出すとともに鼻水を瞬間的に出し入れする始末。しかし、逃げ出さなかった彼は偉いと思います。
さて、この前 23 時近くまで残業をしていた時のこと、限界LOVERS の僕は、自分の研究室の中で加トちゃんのネタと故・世紀のペドフィリアであるマイケルジャクソンのネタをドッキングさせて「ウンコチンチン、ファオ!」と叫びながらクソみたいな論文を歩き回りながら読んでいました。傍目から見ると気の触れた人ですが、研究室内なので気が強くなっていたのでしょう。また、ラボ内は真っ暗で誰もいないことは確実だったため、気も大きくなっていました。
喉が渇いたので、叫びながら給湯室に向かったところ、アンタ、ほのかに電気がついてるじゃないですか。誰ですか、消灯しないで帰った馬鹿は!
半ば憤りながら、そして腰を振って叫びながら給湯室に入ると、社内でも美人の呼び声が高い橋本環奈似の女子社員が携帯電話を持って驚いた顔をして佇んでいました。
この女子社員は、クズで仕事ができないパッパラパーの僕にもお茶を入れてくれる、唯一の 心優しい真面目な人です。これはマジズイマーです。このままではいかん。大塚君みたいに面接中に黙ってしまうことは避けなくてはならない、落ち着け!
その時に、あの歌詞が心に浮かびました。「逃げ出さないこと」そう、僕はもう逃げない。 中学校の時に僕が持っていったエロ本、デラべっぴんが担任に見つかった時、ヒステリーを起こした担任が「これは誰のですか!汚らわしい!」とまるでゲゲゲの鬼太郎に出てくる、妖怪あかなめみたいな顔で叫び散らしており、お前の方がよっぽど汚らわしいわ、この妖怪がみたいな時に、僕は「それは親父が持ってけって言ったからです」と言って逃げてしまった。もう同じ過ちは犯さな い。
意を決した僕は大塚君のようなまっすぐな目をして「ウンコチンチン・・・・フヒ!」と叫 びました。「ファオ」と言うところを「フヒ」と卑屈に笑ってしまったところに僕の未熟さがでてしまいました。でも、僕は逃げなかった。やりきった。それが一番大事だったから。
そうしたら、その女子社員は僕のことをゴキブリでも見るかのごとく何も言わずに立ち去っ たのです。「何、その目、ゾクゾクする、フヒィ!」とその手の趣味の方はきっと興奮する だろう、そんな目つきでした。
さて、次の日から橋本社員は僕にお茶をいれてくれなくなりました。お茶だけに加藤茶のネタのせいです。逃げることも大事だったのかなと思う、今日この頃です。