上海の豫園で中国人の若者たちにティーフェスティバルに誘われた話。


つい3年ほど前の話。

会社の表彰の副賞で『上海 3泊4日ペアの旅』をいただき、妻と二人で海外旅行に行くことになった。

初日の夜はせっかく中国に来たのだからと奮発し、ガイドブックに載っていた『王鴨』というお店で北京ダックを食べた(上海だけど)。一人あたり5,000円近く払っただろうか。

物価の安い中国にしてはとても高価で、量も多く2人ではとても食べきれず、後にネットを見てボラれたことに気づく。

そして2日目。上海の有名な庭園『豫園(よえん)』に出かけた。
その庭園の入り口で、中国人の若者男女3人組に声をかけられた。

「写真を撮ってもらってもいいですか?」
「ええ、もちろん」

庭園の入口は特に何がある場所でもない。
バックに写るのはマクドナルドだ。こんなところで記念撮影をするのもよくわからないのだが、彼らのデジカメを預かり、撮影をしてあげた。

見知らぬ海外で他人にモノを預けるのもどうかと思ったが、まあ悪そうな子達でもないし、僕も彼らにデジカメを渡し、妻との2ショットを撮ってもらった。

彼らは最高のスマイルで話しかけてくる。
「日本から来たんですか?日本大好きです」
「大阪に行きました」
「アニメ好きです」
とても友好的な雰囲気で、日本が好きと言われたこともあり、とても気分が良かった。
「今からどこに行くのですか?」
「豫園ですよ(この周辺には他に観光スポットなどない)」
すると、3人組の一人がこんな提案をしてきた。

「いまから私たち、ティーフェスティバルに行くんですけど、よかったら一緒に行きませんか?案内しますよ」

ティーフェスティバル…? 中国のお茶会みたいなものだろうか?
お茶がたくさん飲めるブースがあって、中国の有名なDJが回すEDMに合わせて若者たちが踊っているのだろうか?

まあそれなりに時間もあったので、ちょっと覗いてみるのもありかな?と思った。
「すぐ近くでやっているので行きましょう」
というのでじゃあと僕の心が動きかけたところで妻が一言。
「私たち、時間がないので」
と、友好的な彼らとの交流をバッサリと断ち切ったのだ。

妻のバッサリ加減に彼らは少し残念そうな顔をして、
「じゃあまた」
と、去っていった。

「ティーフェスティバルってなんだろうね」
「さあ。ってか、あんた別にお茶とか興味ないでしょ?」
と、ここもバッサリ。妻は早く豫園での観光を楽しみたい様子だった。

それからまた豫園に向かって歩くこと5分。
前方から二人の中国人女子が歩いてくる。
彼女たちは流暢な日本語で、
「すみません、写真を撮ってもらえますか?」
こちらが快く応え、写真を撮ってあげると、また先ほどの若者たちと同様のコミュニケーションを取ってくる。
「どこから来たのですか?」
「日本行ったことあります」
「日本大好きです」
そして、
「いまからティーフェスティバルに行くんですけど、一緒に行きませんか?」
と、きた。

豫園に来てから10分もしないうちに2組の中国人に声を掛けられ、そしてティーフェスティバルに誘われた。

僕と妻は顔を見合わせ、
「大丈夫です。ありがとう」
と、2人の女子に笑顔でさよならを告げた。

ティーフェスティバルとはそんなにイケてるフェスなのか…?
などと思うわけもなく、これは日本人を狙った詐欺なのだろうと瞬時に察した。

その後は何事もなく(嫁が地下鉄でスマホを盗られたこと以外)帰国し、しばらくしてからあの『ティーフェスティバル』というものが妙に気にかかっていたので、Googleで「上海 ティーフェスティバル」と、検索してみた。

すると驚くべき体験談がわんさかと出てくるではないか。

『ティーフェスティバル』への誘いは、やはり日本人を狙った悪質な詐欺行為で、変な茶屋に連れて行かれてはお茶代やお土産として高価なお茶を買わされ、10万円もの大金を払わされた例もあるという。

あのまま彼らに付いて行ったらどうなってしまったのだろう。想像しただけで震えてしまう。
ぱっと見、人を騙しそうもないような友好的な若者たちであったが、その実は悪質な詐欺集団の一味だったことにもビックリした。

なにはともあれ、妻の冷静な判断力に感服するしかない。
皆様も上海のティーフェスティバルにはどうかお気をつけください。