春のお彼岸

お彼岸が来る。
お彼岸といっても、昨年まではそんなに身近に感じるものではなかった。
この春のお彼岸には、あの世の父とこの世の私がとっても近づけるというので、父の好きな甘酒を作って待っている。
昔、父が飲んでいたお酒の醸造元の麹で作る甘酒が真っ白でさらさらにできるんだ。あまり食べられなくなってからも、甘酒は喜んで飲んでくれていた。
お店の生花コーナーにはお彼岸用のお花が溢れている。お墓とお仏壇と、迷う迷う。
長持ちする方がいいかな、かといって毎回菊じゃ飽きるよね、大輪のカーネーションも綺麗だし、ああ、黄色のフリージアもかわいい、これだけじゃ寂しいからこの赤いガーベラも入れようか、いや、なんだかチグハグだ、白をもっと入れようかそれとも優しいピンクかクリーム色を入れようか…
やっと選んで帰ったら「花ひとつに随分かかったねぇ。」と言われてしまった。
夫が先にお墓の掃除をしてくれてあったので、みんなでお線香と桜餅を持ってお墓参りに行く。
「明日からお彼岸だね、すぐそこまで来るんだよね?甘酒作ってあるよ。」
いまだに手を合わせて拝めない。
父が居なくなってしまったことを自分に認めさせることができないでいる。
午後は『やしょうま』を作る。
これはお釈迦様にお弟子さんが作ってあげたらとても喜ばれたと伝えられているもの。昔はよく作られていたようで、ご近所のおばあさんからいただいたりしたのだけど、最近はこのあたりでもあまり作られない。たまにお土産屋さんで見かけるのは、家で作るものとは全然違う。
なかなか手がかかって大変なのです。毎年ひとりで作っていたけど、今年は何を思ったか娘が手伝ってくれることになった。前夜にだいたいの絵柄を決めてあったので、米粉をこねて蒸してまたこねて、絵柄に合わせて色をつける。
ピンクは食紅
緑はよもぎ
黄色はきな粉
茶色はココア
金太郎飴みたいに組み合わせていく。
太巻きをのばしていって程よい大きさになったら切っていく。
今年はウグイス(のつもり)パンダ(のつもり)梅(のつもり)の3種類。
ウグイスはのばしたら形が変わっちゃったし、最後の梅は太すぎてのばしきれず、かなり大きめ。ま、いっかぁ。
甘酒と一緒にお供え。
「おっ、こりゃこりゃ!すごいじゃん!」って、いま言ったでしょ?
聞こえたよ。