朝は忙し心せよ(もと)乙女

ぴっ
「あー!」
おろしたばかりのストッキングがデンセンしてしまった。
夕べ食事の支度をしていてピーラーで人差し指の爪をひっかいてあったのだ。爪のカーブの始まりから引っかいたので切るに切れない、というか深爪になってもなおも引っかかるから切っても仕方ない状態だったのでそのままにするしかなかった。
日が暮れて電気を点ける時間になったらもう爪が切れない。朝は忙しいし、休みの日は何かどうかバタバタしていてつい忘れてしまう。
なのでわりといつも爪が長くて「そろそろ切りなさい。」と言われてばかりいる。
いつだったかは、片手の爪を切ったところで日が暮れて、もう片方を切るタイミングがなくて週末までそのまま、なんて事もあって「だらしないねぇ。」と家族に顔をしかめられたりもした。
迷信だとわかっていてもどうしても夜は爪を切れない。
迷信と言えば最近は茶ばしらというものをとんと見なくなった。
家はよく日本茶を飲む方だと思うんだけど、急須に細かい網目の茶こしが付いているからお茶を注いでも茶ばしらどころか茶がらが全く出ない。それはそれで見た目もきれいだし、あるいはティーバッグに入っていれば茶がらも捨てやすい。お茶屋さんでもよりお茶の旨味を出せるティーバッグを開発しているところだと聞いた。
茶ばしらが立ったのを見つけて「ほら、きっと何か良い事があるよ!」なんて喜ぶ事はもう無いかもしれない。
さて、
ストッキングを穿き替えねばならない。
「もーう!この忙しい時に!」
新しいストッキングを袋から出してまた爪に引っ掛けないように用心深く、なおかつ大急ぎで履く。
余計な時間をくってしまった。
「行ってきまーす!」
急いで靴を履こうとしてようやく気がついた。
スカート履いてなかった…