おかしな目への勝利

実は生まれつきおかしな目をしている。複視とも言われたが、それだけではない。さまざまな目の異常が重なっておかしなことになっているのだと思う。
例えば球技でボールが宙に浮くと、それを目で追って受け止めることは私にとってかなり難しい。階段も手すりなしだとフラットに見えすぎて怖いときがある。実際足がふらついて、昔はよく階段から落ちていたものだった。
手術をして改善はしたが、やはり完全ではない。未だにダブって見える時もあるし、階段は怖いままだ。
手術をしたのは大学時代。だから1番体育の授業が大変な小中学生時代は不自由なまま過ごした。当然、体育は嫌いだった。
そんな私でも好きなスポーツがいくつかある。そのうちの1つがアーチェリーだ。地元の牧場に何故かアーチェリー場があったため、幼い頃から親しんでいたのだ。
目の問題もあって、最初は全然的に当たらなかった。それが悔しくて、何度も何度も練習した。家にあった子ども用ダーツで目を慣らしもした。
訓練に訓練を重ねた末、ついに私は自身の負の特性に打ち勝った。いつしか的に当たるのはもちろん、真ん中にバッチリ当たるようになったのだ。
目が慣れてくれたのだろうか。アーチェリーを自分の満足いく形にできてからの球技は割と楽しめた気がする。かつてより目で追えるようになったのかもしれない。確信は持てないけれど。
とはいえもうアーチェリーをしなくなって随分経ったから、目の慣れもなくなったかもしれない。ただ、どうも完全に感覚を忘れたわけではないことは分かっている。
数年前、当時の恋人に連れられて初めてシューティングバーに行った時、そのお店で指折りのスコアを叩き出したのだ。他の客にも褒められ、店員さんも盛大に拍手してくれた。
アーチェリーの遺産かもしれないと思うと、何だか嬉しかった。楽しみながらとはいえもがき苦しんだあの時の私のおかげで楽しめたのだから。
ただ当時の恋人は「俺得意やねん!」と自信満々だった顔を潰されて不機嫌になってしまった。その後険悪になり、結局その流れで別れてしまった。
何とも後味の悪いエピソードだ。しかし負の身体的特性に打ち勝てたことを思い出させる好スコアは自信にも繋がった。だから、何やかんやでいい思い出の1つだ。
でも私は決めている。シューティングバーには二度と行かないと。