ウサギのおもいやり

  今年は特に雨の日は応えます。
マスクをしているせいですね、エアコンの効いた部屋にいても一歩外に出ると
風は涼しいのに体がだるくて心も萎えます。
「早く帰ってシャワーを浴びたい」と一日中考えてる毎日。
 

他社で行われた会議を済ませ、頑張って働いているみんなにアイスやドリンクの差し入れを買って帰ろうと大型のショッピングセンターに立ち寄りました。

買い終えて駐車場に行くと小さい子供の泣く声が聞こえます。

野外にもかかわらず端から端まで響くような大きな声で耳にビンビン響いてきます。
その隣でお母さんらしき人が立ちつくしていますが不快指数はMAX。
様子からして事故や病気ではなさそう……だけど。
 
通り過ぎる人も“火のついたような”子供の声に、普段なら何気なく済ませられるのに
この暑さと湿気でイライラした様子が見れます。

 

幸い雲の切れ目から光が差し、辺りはかなり明るくなってもう降り出すことはなさそうなので、まだ泣き止みそうもないその子が気になり、陰に入ってしばらく様子を見ることにしました。
 

ときどきしゃがみ込んでは話しかけるお母さん。
でも泣きわめく声はかえって大きくなります。

ア――――〰〰~ン ギャ―――――――ッ! ウギャ―――――――!
 

「暑くてしんどいヨー どうしたらイイの 助けて」

そんなことが上手く言えない小さい子。

 
「朝の用事を済ませて雨の中やっと出てきたお買い物。
そうでなくても休みたいのに、泣いてぐずらないで……」

打つ手が無くなり無言で遠くを見やるお母さん。

 

二人とも濡れた駐車場の真ん中でかなりピンチです。
助けに行った方がよさそうと近寄ろうとした時です。 

センターの建物から小走りで近づいてくる大きな物体

さっきまで1階のフロアで子供相手にウロウロしていた
ゆるキャラのウサギさん

その子の傍まで来ると小さくかがんで何やら囁いている。
喋らないはずのウサギさんが一所懸命に話しかけているんです。
(声からして女の子のウサギ)
 

泣いていたその子がウンウンとうなづいて、風船を渡されると笑い始めた。
ウサギさんもぴょんぴょんと跳ねて楽しそうである。
こんな時はやっぱりおじさんなんかよりウサチャンが数倍もイイ!
 

めでたし めでたし 
手を振ってその親子は話しながら帰っていきました。
 

 

★買い物を済ませた客なのに…… 

★本館から離れた駐車場まで出てきて…… 

そのウサギさんの登場は、梅雨の空がサッと開けて光が差したようでした。
あの親子だけじゃなく、僕も、他のお客さんも救われました。
 

 

駐車場で一番暑い思いをしたのは間違いなく
小走りで走って来た、ぬいぐるみの中のお姉さんだと思う。
 

ウサチャンの好みじゃないかも知れないけど、
何も言わずにお辞儀をして「午後ティー」を1本受け取ってもらいました。