可哀想な幽霊のハナシ



こちらに出てくるRさん。
若い頃は不良として名を轟かせた人なんですが……

Rさん、お化けが駄目なんです。
「殴ったり蹴ったりできないから」とは本人の弁。
でも、こういう人に霊感があるという皮肉。
Rさんの #不思議 バナシには笑えるものが多いのですが、一番私が笑っちゃった話をば。

Rさんは某繁華街を中心に不動産管理と飲食店を経営する会社をやっています。
1階や地下1階などの人気が出る物件は貸し出して安定収入を得て、2階以上の人気薄物件は自分のところで飲食店を経営したり。

ある時、地元の銀行から「この物件を買ってもらえませんか」とお願いされたビルがありました。
やや鉛筆っぽい細長いビルですが、Rさんの会社がすでに持ってるビルのお隣さん。将来的には、隣の持ちビルと一緒に建て替えれば、建築条件も緩和される。
Rさんの会社では、銀行の足元を見て、相場よりかなり安く買い叩きました。

そのビルの各フロアは、すでに借り主がいるところばかり。
ただ、5階だけが空いている。問い合わせはそれなりに来るんだけど、なかなか借り手がつかない。
下手に安くして貸すぐらいなら……と、自社経営の飲食店を入れることになりました。

で、まずは解体業者を入れて、中の内装を全て剥がすことから始めようとしたのですが、この作業がなかなか進まない。
それどころか、いつもの内装業者がやりたがらないんですね。「こんなの、いつもやってることじゃねぇか!」とRさんが文句を言うと……

「出るんですよ、アレが」と内装業者。

聞けば、中のテーブルを運び出そうとすれば、店の一角から青白い顔をした中年男が睨んでくる。「へ?」と思ってると、頑丈なテーブルがいきなり壊れて、作業員の足元にガチーン! これで作業員の一人が足首骨折。
三脚に登って内装のクロスを剥がしていたら、いきなり耳元で(グオオオ!)という悲鳴がして、振り返った瞬間に三脚が壊れて作業員転落。これで中堅作業員が手首骨折。
こんな感じのことが3日間で次々と起きて、内装業者の作業員が社長一人に。で、社長はその報告を受けてビビっちゃった、と。

Rさん、これは本当に何かあるんじゃないか、と、そこらへんのことを聞き回ったトコロ……

そのフロアは、前のオーナーが自分で店をやってたらしいんですね。
で、店が上手くいかなくなって、その店の一角で首吊り自殺をした、と。

しかし、このまま、フロアひとつを遊ばせておくわけにもいかない。Rさんは自分の会社の若い衆を引き連れて、自らの手で内装解体することにしました。

Rさんいわく、
「いるんだよ、作業中にずっと。
 50代半ばくらいのハゲがさ、店の隅でずーっとこっちを睨んでやがるんだ。
 俺が『てめぇ、うぜぇんだよ!』って怒鳴ると、一瞬消えるんだけどよ、
 その後、1時間ぐらいしたら、またこっちを睨んでるんだ。
 それがよ、俺以外には見えないから、腹が立つんだよな」

それでも3日間で内装をきれいに剥がしたRさん。
社長であるお父さんに「アレ、お祓いしたほうがいいよ」と報告したものの、頑固なお父さんは「そんなもんに金を払えるか! おまえがポケットマネーでどうにかしろ!」と……

(さて、どうするか……
 俺のポケットマネーでお祓いするのも癪に障る。
 だからといって、なにもしないのもなあ。
 ん? 待てよ? あそこには中華居酒屋を開くから……)

Rさん、いつもの出入り設計業者に指示を出しました。

「おう、厨房の場所、ココな。
 ココに業務用の4口コンロを設置しろ」

Rさんの名案とは、ハゲの幽霊がいつも立っている場所に、コンロを設置するということ。

「だってよ、除霊には、火の浄化ってのがあるんだろ。
 だったら、中華用のコンロなんか最適じゃねーか。
 ゲラゲラゲラ!」

……さて、その後、ハゲの幽霊はどうなったか?

実は、その後も出るそうです。
ただし、視えるのはRさんだけだそうですが。

そして、中華の強烈な火に炙られながら、それはそれは恨めしそうな顔でRさんを睨んでいるそうです。

「でも、段々と薄くなってるんだよ。
 火の浄化、サイコー!
 おもしれーのはな、火がボウッと上がるだろ?
 そうすっと、その火に合わせて、ハゲ幽霊の薄い髪の毛もフワッと浮き上がるんだよ!
 ゲラゲラゲラ!」

ホント、豪快な人でございます……

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