5歳の長男の話

この頃、長男が食事時や入浴時なんかのふとした時にポロリと「ぼく大きくなりたくない」と言うようになった。
曰く、「だって大きくなったらおじいさんになって病気になっちゃうんだもん」だそうで。
どうやら実家に帰省して、脳卒中で寝たきりになった大叔父のお見舞いに行った時の病室での光景が相当衝撃的だったらしい。
そこへ更に私の祖母の葬儀があり、息子は初めて「人の死」に直面してしまった。
通夜の前に棺に横たわる祖母の顔を一度見て「こわい…」と言ってから、お棺に近寄ろうとせず、出棺前にお花を入れる時にも他の子供たちや次男がわらわらと群がる中、長男だけは1人離れてその様子を見ていた。
火葬場でのお骨拾いでは急に「ぼくもやりたい」と言い出しせっせと拾っていたので、「お、もう怖くなくなったのか?気持ちが昇華できたかな」と思っていたが、後日家に帰ってきたら今度は「病気になりたくない」から「ぼく大きくなって焼かれるのやだな…」というつぶやきに変わった。
まだ長男が産まれる前、父方の祖母が亡くなった時、甥である兄の長男もちょうど4,5歳くらいだった。
甥は最初「死」というものが理解できず、棺に入る前布団に横たわる祖母の横で「おばばちゃん、みてー!!」と言いながら覚えたてのでんぐり返しを披露していた。
甥の方は死ぬことについてあまり過剰に怖がらなかったらしい。
兄の方から何か教えられたらしく、その後「おばばちゃんはホトケになったの!」と言っていた。
それにしても、5歳かー。
私が覚えている限り、自分が「死ぬのが怖い」と思った一番古い記憶は小学校低学年の「ノストラダムスの大予言」だったな…。
こんなことを書くと親バカ以外の何でもないのだけど、長男はちょっと繊細なところがあって、絵を描かせるとたまに子供らしくない病んだ抽象画家みたいな絵をかくことがあるので、芸術家肌なのではないかと思っている。左利きだし。
「大きくなって死ぬのいやだ」という長男には「そんなにすぐ死なないから大丈夫」とか「大きくなったら死ぬ前に楽しいことたくさんあるよ」とか慰めるなかで「大きくならなくても死ぬときは死ぬんだよ」という身も蓋もない言葉をかけているけれど、これから彼がどんな死生観を育んでいくのか楽しみに生暖かく見守っている次第。