ブックレビュー『時間のかかる彫刻』

スタージョン『時間のかかる彫刻』ようやく読了。
何とも時間のかかる読書であった(汗)。
作者の経歴の中では後期(~末期)に位置する中短編集。
原典は『Sturgeon Is Alive and Well...』(1971年)で、
この本は最初の邦題『スタージョンは健在なり』の改題版。
ヒューゴー賞、ネビュラ賞を受賞した表題作「時間のかかる彫刻」 (1970年)は、
盆栽も人間の精神も、完成までには紆余曲折、
まるで時間のかかる彫刻作品のようなもの――という話なのだが、
過去いくつかスタージョン作品を堪能してきて初めて「ウッ」とたじろいでしまった。
テーマには頷けるが、盆栽を、よりよい形に導くことと、
病気になって不安に襲われる女性を快方に向かわせることが同列に語られていて、
男が気に入った女を更に
自分好みのタイプに仕立て上げようとするかのような雰囲気に
モラハラの匂いを感じてゲンナリしたのだった。
スタージョンにとって四番目の「運命の人」の存在がよくも悪くも随所に見え隠れ。
女が男あるいは子供たちのために自己犠牲を払う話からは、
作者が惚れた女性に様々な――過分な――期待を寄せていたのではないかと思わされ、
その点も「何だかなぁ」と。
面白かったのは、本当は嫌なのに離れられない、
過去の因縁に縛られた歪んだ友情を描いた「ジョーイの面倒をみて」(1971年)。
これは共依存かなぁ……。