彼については短い期間にいろいろあり... by まいこ | ShortNote

彼については短い期間にいろいろありすぎた。現在進行形でいろいろある。
山に行く前日に、改めて告白されたので、驚きながらごめんなさいと伝えた。区切りをつけたかったから、と言って彼は帰っていった。もう会えなくなるのでしょうか、とLINEで聞くと、そういうことはしないと決めた、恋人じゃなくても大切なことに変わりはないから、という返事が返ってきた。それは、わたしがこれまでずっと言ってほしいと思っていて、誰も言わない言葉だったので、心の底から嬉しかった。なんて真っ直ぐな人なのだろうかと思って涙が出た。それで、わたしはちゃんと説明しなければ、と思った。
あなたのことは好きですが、わたしは自分でやりたいことがいっぱいあるんです。あなたといると、あなたといることに満足して何もできなくなる。最初はそれでよくても、段々そういう自分が嫌いになって、我慢ができなくなる。そうなることがわかっていて、好きだから試しに付き合ってみる、とかそういうことはできないんです。
この好きというのはどういうことなのか、ということを説明するのはかなり難しいので、よくわからない、としか言えなかった。異性として好きかと聞かれたら、本当のところは好きなのだろうと思う。たぶん、2人でソファでくっついて座りながら映画を観る、とかそういうことができると思う。そして、それはとても幸せなんじゃないか、というように思う。でも、わたしにはそれでは足りない。
その回答は斜め上過ぎてよくわからない、と電話が来て、恋愛脳の人にはきっとそうなのだろうな、と思った。やりたいことを好きなだけやったらいい、という人生相談のような返事をもらって通話を切った。「まずは、一番実現可能なところに狙いを定めて、これと決めたら余所見をしてはいけない」。それもそうだ、その通りだ。思わぬところから新しい光が切り込んできて、目が覚める思いだった。
ここまではよかった。
友人たちとキャンプに行った帰り道、彼がなんだか暗い顔をし始めたので、わたしはなんとなく嫌な予感がした。そうしたら案の定、やっぱりこうして会っているのが辛い、と彼は切り出した。どういうつもりで2人で会ったりするんや、そんなの期待してしまうやん。こんなのおれただキープされてる状態やって普通思うで。「だって、わたしは何度もはっきり断っていて、友達としてって、ずっと言っているじゃないですか」。ジムに来ないでほしい、とまで言われて、怒りを通り越してただただ悲しかった。
あなたが友達でいられないなら、それはわたしにはどうしようもできない。でも、あなたは自分が傷ついているという理由で、わたしを傷つけている。それも二度目です。そのことを分かってほしいのです。
長い沈黙の後、ジムに来るなというのは言い過ぎた、ごめんなさい、と彼は絞り出した。「一緒にいると楽しいけど辛い、どうしたらいいかわからない」。
こんなことを言うのは酷いかもしれないけれど、それは全部あなたの問題なんです。わたしは既に回答を出しているし、聞かれたことにはできるだけ答えている。あなたが考えて決めるしかない。そして、その悩んでいる段階で、わたしを傷つけることを言わないでほしいんです。
その後いろいろな話をした。わたしが好きな人のこと、山のこと、わたしの自傷行為のこと、彼の生い立ちのこと。わたしは自傷について、あれほど何度も反芻してノートにも書いていたのに、家族のことについてはなんだか上手く説明できなかった。彼は全然気にしていないようだった。「そんなんで引くと思ったら甘いで」。好きな人のことについて、「それはわかるわ、目標があるやつってかっこいいもんな」と彼は言った。「まいこは趣味も合うし友達としても良いやつだと思う、付き合うって今の状態と何が違うんや、このままでもいいんやないか、とも思う。でも、そこは男女だから、やっぱり上手くいかない」。一緒にいる限り、他の女性に目を向けられない、と彼が言うので、現実的な案として、連絡の回数を控える、とか少しずつ距離を取ってはどうでしょうか、と提案した。ひとまずLINEを止めましょう。
再び彼は沈黙した。ああ、わかりやすいなあ、怒られる前の大型犬みたい。彼が、しまった、失敗した、と思っているのが空気から伝わってくる。「やっぱりちょっとステイ!今想像してみたんやけど寂しすぎるわ」。本当に、腹が立つ。彼の機嫌はすっかり回復していて、わたしはただただ振り回されて、それなのになんだか可愛らしいなあと思ってしまう。わたしより一回りも図体が大きい大人なのに。「いいんですけどね、気分の浮き沈みなしに、一度ちゃんと考えてください。あなたの気分でやっぱり無理とか振り回されるのはもう嫌なんですよ」。だいたい、なんで当本人のわたしが彼の片想いの悩み相談を受けなければならないんだろう。
というわけで、本日その回答を聞いてくる。本当にちゃんと考えているのか、不安しかない。