夜に佇む

まだ肌寒さが残る夜の中。
ふと顔を上げれば、街灯に淡く照らされる白い花。
近くの公園にある、梅の木だった。
昔、学校で "夜闇の中、その香りで梅が咲いていることを知った" という主旨の短歌を習ったのを思い出した。
暗闇の中で姿が見えないということは、その梅は紅梅なのだと。
逆に言えば、白梅は夜でもその姿を認識できるということだが、
暗闇の中で白梅がこんなにも存在感を放つとは思わなかった。
桜よりも力強く、けれど、
繊細に重なった花びらは美しく。
どこか温かい雰囲気も秘めたその花は、
一瞬で私の心を掴んでしまった。
しばし立ち止まった後、歩をすすめる。
疲れた体も、少し軽い。
しばらくの間は、帰り道がちょっとした楽しみになりそうだった。