トマトは野菜?それとも果物?本当にあった「トマト裁判」



 日本では、トマトはほぼ野菜と認識されています。一方で、アメリカでは半分野菜、半分果物として扱われています。サラダに入っていたり野菜コーナーに売られていたりする反面、普通に生クリームのケーキに飾られていたり、フルーツポンチに入っていたりすることも。"Pocket Oxford English Dictionary"で tomato を調べると"a glossy red fruit, eaten as a vegetable or in salads"と記されています。抄訳すると「つやつやした赤い果物で、野菜のように食されたり、サラダに入っていることもある」という感じでしょうか。「トマトは果物だが野菜でもある」とでも言いたいような曖昧さが伝わってくる、辞書にしては希有な一文と言えましょう。

 こういったトマトに対する曖昧な定義は、1893年、アメリカで「トマトは野菜か、果物か?」が争われた「トマト裁判」の原因にもなりました。当時のアメリカでは、野菜の輸入には関税がありましたが果物の輸入には関税がありませんでした。そのため、トマト輸入業者は「トマトは果物である」と主張し、税金を払わない方向へ持っていこうとしました。一方で、税金を徴収したい農務省は「トマトは野菜である」と主張。そこで、輸入業者は植物学者に頼んでトマトを植物学的に果物であることを証明してもらおうとしました。具体的には「植物の開花部分から成長して種子を含むため、トマトは果物である」と説明されたといいます。また、輸入業者側が裁判所に提出した資料の中には「ワイルダー作の小説『大草原の小さな家』には、トマトにクリームと砂糖をかけて食べるシーンがある」と説明する文書があったのだそう。

 裁判開始から1年後、最高裁判所は「トマトは野菜である」という判決を下しました。判決文には「トマトはキュウリやカボチャと同様に野菜畑で栽培され、食事中には出されるがデザートには出されない」と記されていました。