チャットレディ体験談

テレクラは、男性が店舗に出掛けて、利用料金を支払って、電話のある個室に入り、お目当ての女性と電話が繋がるまで待つというシステムの出会い系サービスです。男性側の料金等、詳細は知らなかったのですが、わたしは5年前(当時26歳)に電話を受ける側のアルバイトをしていました。所謂、サクラってやつです。
当時のわたしは一時、仕事をしていなかったので、この際いい機会だと思って気になる仕事を片っ端からやってみようということで、面接に行きました。新宿の雑居ビルの中に事務所がありました。金髪で両耳を敷き詰めるシルバーのピアス、黒のスーツに豹柄のフレーム眼鏡というどこかアンバランスで、主張の強い格好をしたスタッフの得意げな説明を、わたしはただ黙って聞いていました。
チャットレディのアルバイトは脱ぐものと脱がないものがあり、脱ぐのはライブチャットというものでした。ひと通りの説明を終えた金髪豹柄メガネスタッフが「どっちやります〜?」と軽快にたずねてきたので、とりあえず、「脱がないほうを…」ということで希望を出しました。このバイトを始めるまでは、とりあえずいろんな男性と会話すればいいだけでしょ程度に軽く考えていましたが、実際はかなりのテクニックを要されました。
テレクラは、テーマごとにいくつかのジャンルに分かれていてこれを業界では、「番組」と呼んでいます。番組は、「出会い」の他に「人妻」、「テレH」、「SM」などがあります。女性キャストは、繋がった電話の番組に合わせて役柄を演じなければなりません。とにかく沢山の男性と話したもの勝ちなので、瞬時に役柄を変える瞬発力と、恥を捨て男性を夢中にさせる演技力が必要です。
ちなみに「SM」の番組になると、SかMかも男性客に合わせてなりきる必要があります。わたしはどちらかといえばM役が得意だったので、Mの男性に当たってしまった時の自分のS役の下手くそさといったら、笑えました(笑)下手くそすぎてすぐ電話を切られてしまったこともあります。すごく虚しい気持ちになったのを覚えています。
「出会い」は、普通の会話に加えちょっとエッチな会話をすれば良いですが、「テレH」の場合、最終的に抜いてあげないといけないので、結構難易度が高いです。男性をその気にさせるセリフや声を出さないといけません。躊躇いもなく、アンアン喘ぎます。さすがのわたしも、最初はなかなか役に入り込むことができずに苦労しました。
男性客は、会話に飽きると相手をチェンジしてきます。チェンジされないようにトークしなければならないのですが、テレフォンSEXともなると、もはや会話ではなくどれだけ男性好みのセクシーヴォイスを持続させられるか、演出できるかにかかってくると思います。
ある日、苦戦するわたしに、金髪豹柄メガネスタッフが声をかけてきました。
「まり子さん、男性の妄想がどんどん膨らんでいくトークをすることが会話を続けさせるコツですよ。例えば、今何してるの?という問いに対しては、暇してた〜とかではダメなんです。もっとエッチな想像をさせなくちゃ!そうだな、僕だったら、今着替えてたよぉ♡とか、お風呂からでてきたよぉ♡とかかわいく甘~い声で言って欲しいですね!」金髪豹柄メガネスタッフのつぶらな瞳は、キラキラと輝いていました。この時わたしは、どんな仕事にもコツってあるんだなと非常に感心した記憶があります。
さらに、このアルバイトは関東圏すべてを担当しなければならないので、自分が住んでいる地域以外の電話に当たった時に、その地域に住む男性客と話を合わせなければなりません。まぁ関東圏なので、だいたいは話を合わせたり、なんとなくで適当に対応できたので大丈夫でしたが、最初はドキドキします。一応、店側から日本地図は渡されますので、それを見ながら話ししてました。それでも、わからない地名を言われると、ドギマギしていました。地名がわからないせいで会話が疎かになると、すぐに電話を切られてしまうので要注意です。わたしは過去、群馬に住んでいたことがあり、更に宇都宮にも友人がいたのでそのあたりはなんとかごまかすことができました…。テレクラでの男性側の目的は、女の子と実際に会ってエッチをすることがほとんどですが、中にはただ若い女の子と話したいだけという人もいます。女性キャストの役割は、いかに男性に不快感や不信感を与えず、できるだけ長くお話をすることなので、実際に会えなくてもいいのです。
電話番号は男性のほうから教えてくることがほとんどですが、もちろん、女性キャストが良ければ個人の携帯番号やメアドを教えるのは自由です。わたしは、実際に何人かに教えてしまったこともありました。あまりにも電話の向こうの男性がいい人すぎる場合は、そうしていました。おまけに、実際にお会いしたこともあります。一人だけですけどね。変なことは何もしてなくて、ただ一緒にお酒を飲んだだけです。
あと、驚かずにはいられなかったこと。それは、女性スタッフの容姿がずいぶんと衝撃的だったことです。ライヴチャットのスタッフは、基本顔出しの仕事なので、男性に見られますが、電話スタッフの場合は声だけなので、どんな外見でも許されます。女性スタッフは新宿の事務所から少し離れたビルの一室で、一部屋に一台、電話の置かれた小さな個室に入って仕事します。個室が並ぶ通路に出てみると、女性の甘ったるい声や喘ぎ声などが聞こえてきます。しかし、部屋から出てくる女性は、思わず二度見してしまうほどびっくりする容姿です。目がかなり離れていて人面魚みたいな女性、野生動物っぽい毛深い女性もいました。この生き物たちがあんなに可愛い声や喘ぎ声を出して男性客を夢中にさせていたのかと思うと、衝撃で鳥肌が立ちました。彼女たちのこの仕事に対する、プロフェッショナルな意識を感じました。わたしの人生の中でもベスト5に入るのではないかと思うくらい、貴重な経験をしたなぁとしみじみ思います。