それぞれの「東京」。涼しい夜風とともに思い浮かべる音楽

渋谷スクランブル交差点で人の流れに逆らって歩いているとき、新宿の雑踏に紛れ込んでいるとき
自分が「どこにいるのか」分からなくなるときがある。
人は溢れるほどいるのに、寂しさを感じるのは「東京」という場所だからなのだろうか。
可能性を秘め、夢に一番近くて温かい場所。でも同時に孤独で寂しさを感じる冷たい場所。
そんな夜にたまには窓を開けて夜風を感じながら音楽に浸ってみるのもいい。
本日は「東京」に焦点を当てた6選ご紹介します。
▼くるり/東京
私は今年でもう27歳になるけど、この世代の方たちにとってくるりの「東京」という曲は
誰もが一度は耳にしたことがあり、真っ先に思い浮かぶ楽曲かなと思う。
この曲自体は1998年に発表されているのでもう20年も前のものだけれど、全くダサくないし、東京のあのごちゃごちゃした喧騒に辟易しているちょっと昔の自分を思い出す。
ギターのシンプルなイントロから始まるこの曲は、岸田繁(Vo/Gt)のゆるくて、のんびりした声となんてことのない歌詞が印象的。
”君”に当てた手紙のように歌われているのは、歌詞ではあまり使わない”です、ます”を使っているからでしょうか。その効果は一見他人事のようにも聞こえる。けれどクライマックスになり”自分”がだんだん出てきて大人しい曲なのに、それに反して気持ちは高ぶっていく不思議な魅力のある曲。
▼ケツメイシ/東京
こちらの世代的には印象にかなり残った曲。
こちらも発表されたのは2005年で20年以上前の作品。くるりの「東京」は上京しても思った通りに行かない生活を送ってる人視点だったが、これは完全に田舎から東京に出てきた主人公が、地元に置いてきた家族や、恋人、そして友達との別れを東京で思い起こす雰囲気が出ている。新生活を大学進学や、社会人で迎えた方にとっては、とてもぐっとくる歌詞だろう。そして切ないメロディ、ラップ部分には上京してからの心境がより詳しく表現されている。
”いつでも一緒にいた”という至極当たり前だったはずの日常が、自分が上京することによってあっさり無くなった寂しさ、そして希望を持って歩いた東京だったのに、上手く馴染めない…といったような迷いで夢を諦める、という展開も赤裸々に描かれている。
そして最後は東京での暮らし方、過ごし方を覚えて少し成長したことも歌に乗せられているので、東京で奮闘しているであろう新社会人にはぜひ聴いてほしい。
▼THURSDAY’S YOUTH / 東京
シンプルなギターのサウンドは、くるりの「東京」のようだけれど、「東京」という街の冷たさ、寂しさに視点を置いたこちらの楽曲。都会で生き抜いていく懸命な姿が不器用ながらも表現されている。
ちょっと投げやりな表現や、少し後ろ向きな言葉の選び方は聴く人によっては、心を押しつぶされないような繊細な歌詞とメロディで落ち着いた気持ちになる人ももいるかもしれない。
都会で生き抜いていく、というのは言葉にすると簡単なようだけれど、実際満員電車に揺られている時間、親しい人が近くに誰もいない孤独、夢や希望を持っていたことも忘れるくらい忙しない日々を過ごしていると、ふと辛くなるものだ。その繊細な人の感情を丁寧に吸い上げてくれるような
包み込んでくれるような楽曲なので、都会の生活に疲れ、リセットしたくなった方におすすめ。
▼モノクロトウキョー/サカナクション
※2分31秒~
全ての曲の完成度がかなり計算されて作られている彼らの楽曲にも「東京」をテーマにした曲が。
都会的なキレのあるイントロに、夜を彷彿させるような熱を持った静けさ。
”午前5時の都会は妙にゴミ臭い”など、モノトーンの部分と”憧れ”のフルカラーを対比させ
希望を持って上京してきた鮮やかな色合いから、住んでみたら分かるモノクロな部分を歌い上げる所はサカナクションらしく、カッコよく、都会的で、そして自分の東京に対する正直な気持ちが出ている。この曲、シングルカットはされていないけれど、とてもライブでは人気のある曲で、「トウキョー」の部分を「マクハリ」などライブ会場の地名に変えるというサービスもあるくらい彼ら自身もとても大切にしている曲。
彼らが北海道出身であることも相まって、上京して来たものとしての視点はリアルなのに、言葉でうまくカバーしているあたりさすが山口一郎(Vo/Gt)。
▼トーキョーナイトダイブ/KOTORI
エモい…!!と思わずこのイントロの切ない感じだけで強く心を揺さぶられてしまった楽曲。
”眠れない夜に飛び込む”という歌詞から始まるこのふがいなさ…若者ならではの夢と現実と闘うその姿が目に浮かぶくらい、グッと心臓を掴まれたように胸が苦しくなる。
誰もが経験する青春、その真っただ中だろうが、終わった後だろうが”また夜が明けてしまった”の一言で、今日も何にもできなかった気がして、自分が情けなくなった瞬間ってあると思う。
やりたいことはあるのに、叶わない。
真面目に生きているのに、何だかうまくいかない。
そんな理想の自分とかけ離れて、この都会の喧騒に置いてかれているなと思っている人にはぜひ聴いてほしい。気後れしているのは自分だけではなく、誰もが通る道でそれを乗り越えるか、乗り越えないかは自分がこれから先どうしたいのか、というところに辿り着く。そしていつか、自分を見つめ直せる日がやって来るはずだから。
▼茜色の夕日/フジファブリック
最後は、フジファブリックの「茜色の夕日」。全体的に静かな曲調で志村正彦(Vo/Gt)が大切な人との別れを歌ったこの曲。川沿いに沈んでいく夕日が情景として浮かぶほど情緒的な空気と、突き抜けた青い夏の終わりになんの感動もしなくなった、という大人になってから感じなくなったことを歌い上げる。
そして”東京の空の星は 見えないと聞かされていたけど 見えないこともないんだな そんなことを思っていたんだ”という、東京の狭い空でも見える星に想いを馳せたり、”僕じゃきっとできないな できないな 本音を言うこともできないな できないな”という弱気な発言が、何でもできると思っていた東京での、主人公の心の変化を後押ししていると私は思う。
つい、地元と比べて”狭い”なと感じる星空。でも見上げてみるとわりと綺麗に輝いて見える星をじっと見つめてしまう、そんな夜にお聴きください。
以上、東京に関する音楽6選でした。
上京してき誰もが一度は経験する都会の寂しさ、暗さ、冷たさ。
それでも生き抜いていこうとするあなたに、夢を追いかけているあなたに
自分の気持ちをリセットするつもりで、この涼しい夜に聴いてみてください。
それでは。