壁を抜けて。

センター試験は19,20日。わが娘もラストスパート中です。がんばれ。
で、その様子を見て思い出した、自分の受験前日のこと。
午後2時。札幌の、古い旅館の一室で参考書をながめていた自分。
近くで戸を開ける音がして、男女の話し声が聞こえてくる。
隣部屋との壁が非常に薄いようで、向こうからの音がほぼ、筒抜けなのだ。
女性がよく話し、男性は聞き役の感じ。しばらく、会社関係の話をしていたのだが
突然、話し声が途切れた。どうしたのかと思った、その、瞬間。
それまでの自分の人生では、ほとんど聞いたことがないような
艶やかで甘く、刺激的な声が響きはじめたのだ。

・・・・・・さて、と。
この後の詳細な模様については、品行方正なショートノートには
とても書けないので、断腸の思いで割愛させていただく。
この状況で参考書を読み続ける根性はないので、カップルの邪魔をしないよう
忍び足で部屋を抜け出した。
降り続く雪のなかをひたすらに歩き、本屋で立ち読みをして
そば屋でカツ丼を食べてから、旅館に戻る。
夜の空気は、ひどく冷たかった。
自分の部屋の戸を、こっそりと開ける。隣部屋からの音は漏れてこない。
「どうやら帰ってくれたか。あぁ、これで助かった」と思った、そのとき。
また、聞こえはじめたのだ。
アレが。
もし今、あの場所にいたとしたら・・・。部屋を出ることはなかったかも。
いつの間に、そんな大人になっちまったのか、自分でもよくわからないが
それにしても、あのころの俺は、純情だったなぁ。