靴下

エッセイ『類い稀なる平凡』
靴下
ある日、街を歩いていたら
フラミンゴが前から歩いてきて、こんにちはと挨拶をしてすれ違った。知らない者同士なのに、不思議だなぁと思った。
2日後に、同じ道でフラミンゴが歩いてきて、こんにちはと挨拶をしてすれ違った。彼女はまた、黒い靴下を履いていた。脚が特徴的なのでつい見てしまっていた。
1週間後に、また同じ道でフラミンゴが歩いてきて、こんにちはと挨拶をしてきたので、「こんにちは、あの」と呼び止めた。
「いつもと靴下が違いますよね」
その日は緑色の靴下を履いていた。
「いつも黒いから」と僕が言った。
「今日は特別な日なの」とフラミンゴ
「そうなんですね、楽しんで下さい」
「一緒に行きましょうよ」
「どこに行くんですか?」
「湖よ、とっても綺麗なの」
久しく自然というものに触れていなかったので、良い機会だなと思い、僕は意を決してこう言った。
「是非、連れて行ってください」
彼女の背中に乗って、湖へと向かって行った。緑色の靴下は、休むことなく風を切っていた。