ハハフンと笑うのだ

ぼくの仕事は専門用語が多い。
お客さんと話をしているときにわからない単語が出てくる場面も、必然に多くなる。
そんなとき、スーパー営業マンの私はどうするか?
そう、笑うのだ。
わからないから、笑うのだ。
ハハフン、と、笑うのだ。
「ンッスネー」とか言いながら、笑うのだ。
苦虫を噛み潰したような笑みで。
ハハフンと笑う私を見て
「あ、こいつなんのこっちゃ分かってねえな」と察したお客様の顔は、冷たい。光の届かない深海に急に放り込まれたかのような感覚になる。
だって、わからないのだ。
わからないけど
「こいつ、こんな事も知らないのか。大丈夫かこいつ?」
と思われるのが嫌なのだ。
そうしてハハフンと笑うと
「こいつわかってねえのに笑ってごまかしてらぁ。」
となる。
そう思われるのが嫌で嫌でしょうがないけど、10回に1回くらいはバレない時がある。
その、可能性にかけてるのだ。
ぼくは無限の可能性を信じ、探し求める苦笑いインディジョーンズなのだ。
そしてわからないまま話を進めて上司に今日も怒られるのだ。