「老後は田舎に住みたい」とかいう人たち

「老後は田舎に住みたい」
「次の休みは緑の綺麗なところに行きたい」
九州の田舎から東京に出てきて5年目。こういった台詞を耳にすることが多すぎる。
都会の人たちが考える「田舎」と、リアルな世界として田舎に住む人の「田舎」は、絶対違うものだよ、とわたしは思っている。
田舎は、果たしてそんなにいいものなのだろうか。
田舎は車がなければ、どこにも行けない、何もない。
長居できるカフェもない。
おひとりさまに優しい定食屋もない。
ふと外の空気を吸いたくなっても、300メートル間隔くらいで立っている切れかけの街灯の明かりは、夜の散歩には不十分だ。
そしてどこに行くにも、何をするにも、狭すぎる世間の目が突き刺さる。
しかし東京に出てきたわたしには、もう一つの疑問が湧いた。
「東京は、果たしてそんなにいいものなのだろうか」
素敵なカフェがある。東京でしかやっていない映画がある。演劇がある。ブロードウェイのミュージカルも東京で来日公演をする。ミュシャのスラヴ叙事詩だって東京に来る。もう少ししたら、オリンピックだってある。
楽しいことが溢れる世界で、わたしたちは「楽しみ」を必死に追いかけているような気がする。
もしかしたら、楽しいことなんてすぐそばにあるはずなのに。
田舎に帰省しては「ここには何もない、早く東京に戻りたい」
東京に戻ってきては「都会は虚しすぎる、実家に帰りたい」
そんなことを考えてしまうわたしの居場所は、自分で作り出すしかない。
それは実際のところ田舎でも東京でもよくて、ノートと鉛筆一本、それだけで済むはずなのだけれど。
でも、わたしがここで何を言いたいかって、
都会の人が田舎の生活に満足できるわけないじゃん!っていう、ただそれだけです。
「美しすぎる田舎像」なんて、テレビの世界だからね。
もしもわたしが東京の大都会に生まれていたら、「老後は田舎に住みたいな〜」とか、そんなことを言うのだろうか。
言うでしょうね。